しみケアブランド”トランシーノ”を調査
今回の”目的”は商品展開(プロダクト)やプロモーションを中心に、ブランド作りの参考としてベンチマーク。医薬品かつスキンケア・エイジングケア市場の展開方法を参考にしたい。よって市場分析などは注力しない内容でまとめる。
トランシーノとは
しみ、そばかすを治す一般用医薬品のブランド
https://www.daiichisankyo-hc.co.jp/site_transino/
PRODUCT(プロダクト)
"トランシーノ"というブランドの中で、大きく分けて3カテゴリで展開
①トランシーノⅡ
②トランシーノホワイトCクリア
③薬用スキンケアシリーズ
これは上から順に、「第1類医薬品」「第3類医薬品」「医薬部外品」という区分けになっている。
これらを合わせて"トランシーノ"というブランドを構成することで、"しみケア総合ブランド"というっ表現でブランドを説明している。
ここで注目したいのは、医薬品と医薬部外品で構成されている点。
第一三共ヘルスケアは元々製薬会社なので、医薬品→医薬部外品という流れで展開していると思われるが、他のシミ関連商品との差別化ポイントにあたる。
パッと思いつくシミの商品は
・キミエホワイト(医薬品)
・ハイチオール(医薬品)
・ケシミン(医薬品)
・HAKU(化粧品)
・アルビオン(化粧品)
・SK-Ⅱ(化粧品)
などたくさんあり、各ブランドの中で様々な商品展開がされている。
そのブランドの中で、医薬部外品の美容液があったりしているが、医薬品と医薬部外品(化粧品)のラインナップをしっかり揃えているのはトランシーノの特徴だと思われる。
(細かく各ブランドを調査していないので、もしかしたらやっているかもしれないが)
※PRICE(プライス)
一般的な4P分析ではここでプライスに入るが、具体的にシミ市場へ参入をしようとしているわけではないので割愛。商品の値決めをする上で、特に後発で参入する場合は必須。
PLACE(プレイス)
ドラックストア中心にリアルな店舗展開がメイン。
ネット販売はAmazon、LOHACO、楽天で取り扱いがある。
が、全てBtoBのスキームで直営店や直営サイトでの展開は無し。
これは製薬会社として歴史があるからこそ、ドラックストアなどの小売店との関係性があり、直販へ注力できない事情があるのではないか?と思っている。(100%の推測です。)
過去に聞いた話、ドラックストア側の力は非常に強いと聞いたことがある。よくP&G出身の著者が書いているような書籍でも、「棚」の重要性が書かれているように、関係がこじれ「棚」が減る事は避けたいだろう。まして取引が停止にでもなれば大打撃。これだけ全国に多くあるドラックストアなので、1社との取引でも大変な数量が動いている可能性が高い。
故に、直販(特にEC)には展開せず、リテール中心の戦略なのではないか?
PROMOTION(プロモーション)
トランシーノのプロモーションはシンプルに「タレント」×「医薬品」の訴求で作られている。医薬部外品のバージョンもあるが、感覚的に医薬品の方が多く流していると思われる。
先に記載したPLACEでもわかるように、リテール展開をしているとわかりやすいマス広告の影響は大きい。
「来月テレビCMやります!」と交渉すれば、仕入れを増やす可能性もあるし、少なくても「棚」が良くなる可能性がある。CMの効果で売れるわけではなくても、棚が良くなれば売れるはずなので。
ECであれば、CMで認知を取った後、どのように検索・誘導させ、LP上で購入に導くかを考える必要があるが、店舗であれば良い棚にあれば自然と目に入る。より認知の重要性が高そうだと思っている。
(ドラックストアなどの市場に関わったことは無いのでこれも推測。)
あと気になるのは、サンプリングをしていた事。
医薬部外品の美容液だったが、自社のブランドサイトで実施していた。
販売機能は持っていないので、シンプルに「サンプリング」のみだ。
申し込んでみたが、すごくキレイに作ってあった。何を目的として、どうやって効果測定しているのだろう・・・?
CRM / ファン作り
最近一段と重要視されている顧客との繋がり。CRMという表現であったり、ファンマーケティングという表現であったりするが、アプローチや考え方は違えど、目的はリピーターを増やすことだと思っている。
これに関しては、トランシーノをAmazonで買ってみた限り、同梱もなかった。そもそも自社チャネルが無いので個人情報を持ってないわけで、顧客接点が無い以上、何も打ち手が無いといえば無い。
ここでキャンペーンでやっているサンプリングが生きてくるのかな?とも思うが、これからアクションしていくのかは期待。
ブランディング
だんだんまとめるの疲れてきた。
それほど知見を持っているわけでもないので、簡単に。
ブランドサイト・パッケージデザインなど、トンマナはバッチリ統一。
青と白で構成されたデザインは、言葉にできないが天海祐希ともマッチしているように感じる。
シンプルな疑問点としては、商品のカテゴリごとにトンマナを分けている?
※①第1塁は黒と白、②第3類は青と白、③医薬部外品は白
青を基調としたデザインが良いなと思うのは、ドラックストアで目立つ(気がする。)ドラックストアで展開する場合、パッケージデザインは重要らしい。
医薬品の取り扱いについて
最後に医薬品について補足。
医薬品は当然だが誰でも取り扱えるわけではない。
参入を考えたときに、作るのはハードルがあるのはもちろんだが、
売るのにも許可が必要になる。細かい話になってしまうので割愛するが、例えばECで販売をするのにも店舗販売業が必要になり、要件を満たすような実店舗を整え、販売できる人的要件も満たす必要がある。
もう1点、広告表現の話。
医薬品は薬機法で縛られるため、何かと注意が必要。そもそも承認されている「効果・効能」以外の事は訴求できない。デジタルマーケティングで良く言うPDCAが回し辛いと言える。
結論
感想としては、すごくキレイ。
テレビCMで医薬品の認知(メディカル発想)を作り、全国のドラックストアや主要な通販サイトで手に取れるように配荷も整えられている。医薬品を求め店舗で見てみると、医薬部外品のスキンケアラインも並んでいて、シミに悩んでいる人が、しみケアブランドの化粧水や乳液に変えてみようかな?と手に取るのかなーと想像。
一方で顧客接点が無い事が課題っぽく、たとえば販売をしないコミュニティ作りなど販売店との関係を維持しながら取り組める仕組みが現実的なアクションかもしれない。
また、「シミ」という悩みに対する商品なので、InstagramなどようなSNSをハブとするアンバサダー関連の取り組みは相性悪そう。実施しているサンプリング等のキャンペーン的な側面やテストマーケ中心のコミュニティにななっちゃいそうだなとも思う。
以上。