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天使が飛んだ日

耳を塞いでも鳴りやまぬ罵声 外は灰色の雲と降り止まぬ雨

今日も少女は暗い部屋で 一人膝を抱えるだけ

「私は何も間違ってない! あなたが悪いんでしょ!」

「俺に偉そうな口を利くな! ぶん殴られたいのか!」


家の中ではいつも終わらぬ口論 拷問みたく傷増えていく心

今日も少女は出口のない迷路 どうやら一人取り残された模様

「いい加減ちゃんとお金入れてよ! あの子だけでも良い子に育てないと!」

「あんなやつ俺はしらねえよ。誰の子かもわからねえだろ」


——出ていった男と泣き崩れた女、それを見て小さく「ごめんなさい」とつぶやいた。



夜が来れば誰もが寝静まり でも訪れない胸の安らぎ

頭の中に聞こえないはずの声響き ”代わり”に押し付けられる「良い子」

「何で言うこと聞いてくれないの! 良いって言うまで正座してなさい!」

「お隣さんの子はあんなに優秀なのに! 誰も協力してくれないから……」


リフレインするあの時の場面 仮面かぶってもやっぱり駄目

ただただ震える小さき肩 大人たちが背負わせた罪なき咎だ

「悪い子でごめんなさい、ごめんなさい」

「良い子にするから、少しだけ静かなところにいかせて」


ふらつく足取りはベランダの方へ

扉を開けると凍える風

羽根のない天使は塀を越え

自分の居場所をただ求め


——闇夜へと飛んだ。

頂いたサポートは無駄遣いします。 修学旅行先で買って、以後ほこりをかぶっている木刀くらいのものに使いたい。でもその木刀を3年くらい経ってから夜の公園で素振りしてみたい。そしたらまた詩が生まれそうだ。 ツイッター → https://twitter.com/sdw_konoha