科学雑誌を素人が読む[477]
週刊科学雑誌『ネイチャー』2021-10-14号に掲載された論文のラインアップを眺める。全20本。掲載順序をシャッフルしたタイトルを並べてカード化した(訳は『ネイチャー』 日本語ページから引用、B7用紙に出力可能):
【ピックアップ】
✅⑧光触媒を利用した、水からの100 m²スケールのソーラー水素製造[論文]➣太陽光をエネルギー源として水から水素を取り出すという。しかも触媒を使って。面白そうなので詳しく知りたいと考える。論文はプロテクトがかかっている(非定期購読者は要旨しか読めない)。幸い日本の研究機関で行われた研究のようなので日本語の説明がどこかにあるはず。当該機関のホームページのプレスリリースを見つけてのぞいてみるも、……うーん、(小声で)あんまりおもしろくないです。文章が硬くて……(スイマセン)。こうした研究機関発のプレスリリース文の類はなぜ一般の(素人の)読み手の心に届かないのだろうと以前からQ氏は思っていた。書き手が研究者サマのほうばかり向いているのかもしれない。否、硬いバージョンの文章があってもいいのだ。素人が考えるにおそらく、理系プレスリリース文というのは、受け手のレイヤーに応じて複数のものを用意しておくべきなのだ。読みものとして、全く背景知識がない読み手が興味深く読めるバージョンもあっていい。ひょっとすると既に実践している国内の研究機関があるかもしれない。今後は気をつけてみていこう。課題ができてうれしい。
✅⑲哺乳類ミトコンドリアの超複合体CIII₂CIVの構造と集合[論文]➣これはもう〈超複合体〉という語に釘付けとなる。「超」だよ。一般的なタンパク質複合体のさらに上の階層ということだろう。複合体どうしが集まってできあがる構造体を意味すると考える。どのような状況で超複合体は現れるのか? そして最も興味のある点は、超複合体はどのようにして組みあがるのかというメカニズム。超複合体が登場するのは、呼吸とか光合成といった機能まわりに限定されているような気がする。「超複合体」をタイトルに含む書物は未だ刊行されていないもよう。ならば総説を探してみたい。生物学にはまだまだ不思議なことがいっぱいだ。
✅⑩国々を養うための水産食品[論文]➣なぜ著者らが水産食品に注目したのか知りたくなってきた。何かの警鐘を鳴らそうという意図があるのだろうか。➣エントリ[475]で言及。
✅⑨世界のエネルギー消費に対する炭素の社会的費用の見積もり[論文]➣地球が温暖になることで、熱帯地域では冷房への支出が増え、寒冷な国々では暖房への支出が減ると予測されるわけだけど、どちらの費用が高くつくかが見積もりの要なのだろう。エントリ[475]で言及。■
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