科学雑誌を素人が読む[384]
『サイエンス』2021-07-16号の目次が公開された。総説に目がとまる。タイトルは「物質の付着を制御する表面の設計ならびに応用」(Design and applications of surfaces that control the accretion of matter)。
なにやらイカめしい語が並ぶけれど、要するにモノの表面を人工的にコントロールする技術の話。要旨から、わかりやすくまとめられた一文を引く:
固体、液体、または蒸気の付着を制御する表面は、自浄作用のある窓やソーラーパネル、水や霧の収穫、抗菌コーティング、飛行機の翼、自動車、風力タービンブレードの氷を取り除くコーティング、沸騰や凝縮時の相変化熱輸送の促進など、多くの用途がある。*¹
多方面の応用があって実に興味深い。この総説では、モノの表面をいかに整えるか/設計するかについて、現時点での最新知見をまとめている。約10ページの力作。
面白いのは、そうした表面加工のヒントが自然物から得られているということ。たとえば、¹水を集めるサボテンの棘(water-harvesting cactus spines)、²自浄作用のある超疎水性の葉や羽毛(self-cleaning superhydrophobic leaves and feathers)、³獲物を捕らえる肉食性袋葉植物の滑りやすい表面(prey-trapping slippery surfaces on carnivorous pitcher plants)などが挙げられている。どれも興味深い。表面設計のジャンルは、バイオミメティックス(biomimetics)とも通じる。
重要そうなキーワードを要旨から拾ってみる:ファウリング(fouling)、撥液性(liquid repellency)、合成表面(synthetic surface)、濡れ性能(wetting performance)、相転移(phase transition)ほか。
ちびちびと本文を読んでいきたい。■
[追記]
✅*¹[原文]Surfaces that control solid, liquid, or vapor accretion have numerous applications, including self-cleaning windows and solar panels; water and fog harvesting; antimicrobial coatings; ice-shedding coatings for airplane wings, automobiles, or wind turbine blades; and enhancing phase-change heat transport during boiling or condensation.
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