見出し画像

科学雑誌を素人が読む[423]

『サイエンス』2021-08-20号ウェブ版(冊子版はまだ届いていない)の解説記事のページを眺めていたら、「Ecology in the age of automation」というタイトルに遭遇した――「自動化時代の生態学」とでも訳せるか。このタイトルから想像することといえば――まず〈生態学〉というのは生きものの野外における集団としてのダイナミクスなどを研究する分野であろう。たとえばある動物集団がさまざまな環境変化を受けて増えたり減ったりするプロセスを追ったりするとか。そして〈自動化〉というのはたぶんデジタル機器の発展を受けて、たとえば動物個体にデータロガーを取り付けたり、生息域にカメラを据えて生物の動き/変化を継続的に捉えるとか、そういう状況がアタマに浮かぶ。

さて、こんな初発の認識を踏まえていよいよ本文を読んでいく。どんな興味深い知見が書かれているのか? まずは全文をざっと流し読みして、気になる部分をひろってみる:

連続的で精細なスケールのリモートセンシングデータ(continuous, fine-scale, remotely sensed data recording)
ドローンなどのモバイル要素を含む多様なタイプのセンシングネットワーク(different types of sensing networks, including mobile elements such as drones)
ディープ・コンボリューショナル・ニューラル・ネットワーク(deep convolutional neural networks)
自然音と人為的な音の分類(classifying natural and anthropogenic sounds)
ラボラトリー・オン・チップ型のセンサーによる「DNAスケープ」の定量(quantification of “DNA-scapes” by means of laboratory-on-a-chip–type sensors)
大規模な分散型センシングネットワークの構築(construction of large distributed sensing networks)
生物多様性のリモートモニタリングを可能にする、パッシブアコースティックレコーダーのような小型で頑丈なセンサー(Small, ruggedized sensors passive acoustic recorder, enable remote monitoring of biodiversity)
データストリームからパターンを分類・抽出する機械学習法(machine-learning methods that can classify and extract patterns from data streams)
長期的な大陸規模の鳴き声観測所(long-term, continental-scale songbird observatory)

いやもう、こう抜き出してみると、ピンとくるものもこないものもあるけれど、ひとつ一つじっくり考えてみたい気になる。付記されている参考文献も詳しく読んでみたい。

パンデミックの影響をフィールド科学がどれほど受けているのかはよくわからないけれど、自動化技術は助けになるはず。シチズン・サイエンス(市民科学)とも自動化技術は相性がよさそうだ。■

いいなと思ったら応援しよう!