科学雑誌を素人が読む[431]
科学書の書評は『サイエンス』でも『ネイチャー』でもほぼ毎週掲載される。目次が公開されたらまっさきにのぞいてみるページだったりする。最近のネイチャー(2021-08-12号)に掲載されているのは『拡張されるマインド――脳の外側で考えることの力』(The Extended Mind: The Power of Thinking Outside the Brain)という本の書評。
知的活動の環境に関する本のようだ。書き手はサイエンスライター。352頁。[出版社のサイト]
〈脳の外側で考える〉というのは具体的にどのような行為を指しているのかといえば、たとえば、
✅黒板とチョークを使って考えること
✅頭の中の情報を、付箋紙、電話、コンピュータ、友人、同僚、ジェスチャーに移して考えること
✅ブロック、レンガ、ビットなどを使ってモデルを構築して考えること
といった例が挙げられている。つまり情報を外部化することで思考を高められる”トリック”のショーケースのような本なのかも。環境がどのように思考を高めるのか――「脳を拡張するのか」――多数の実例をもって考察されているようだ。大いに興味がひかれる。邦訳されるような気もする。インターシフト社さんあたりから?
著者が称賛している「考える空間」として、カリフォルニア州サンディエゴにあるソーク生物学研究所が挙げられているらしい。この研究施設では「会議や会話のための空間と、一人で瞑想するための空間が設けられている」ようだ。確かフランシス・クリックが在籍していた研究所。その建物はなにかの映画にも使われていたような気がする(失念した)。左右対称の印象的な作りを覚えている。
調べてみたところ、『ソーク生物学研究所』(同朋舎出版1995)というまさにずばりのタイトルの邦訳書がある。59頁とのことなので写真メインの本なのだろうか。幸いにも近隣の図書館に所蔵されている。今度借り出してじっくり眺めてみたい。■
[追記]
✅さらに調べてみたら、『もしも建物が話せたら』というオムニバス・ドキュメンタリー映画でこのソーク生物学研究所がフィーチャーされていることを知った。予告編がある。
(ソーク研究所編は0:45あたりから)。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?