見出し画像

科学雑誌を素人が読む[488]

『ネイチャー』2021-10-28号の目次が公開された。解説記事のページを見ていく。5本のジャンルはそれぞれ〈エネルギーインフラ〉〈神経科学〉〈免疫療法〉〈物性物理学〉〈生理学〉。それぞれに対応する具体的なモノをみていくと「ソーラーパネル」「オピオイドペプチド」「腫瘍細胞」「絶縁体ぜつえんたい」「はり」となる。

もっとも興味をかれるのは、最後の「生理学―鍼」のはなし。マウスを対象に、電気鍼で特定のニューロンを刺激して抗炎症効果をみたという。言い換えると、はり治療はなぜ効くか?――という往年の疑問に対する一つの答え(仮説)の提出ということになる。

解説記事[PDF]には「Zusanli(ST36)」とか「Tianshu(ST25)」とか「Shousanli (LI10) 」とかいったツボ(経穴けいけつ)の魅惑的な名称が並ぶ――漢字に直すとそれぞれ「足三里あしさんり」「天枢てんすう」「手三里てさんり」となるらしい。

漢方かんぽうもそうだけど、鍼灸《しんきゅう》の世界も、この妙にシステマティックなところにグッとくる。

精製した化合物を経口投与あるいは静脈注射などで患部に到達させて効果をみようとする西洋医学とは異なり、鍼の場合は神経ネットワークに直接刺激を与えることで患部(まわり)の状況を変化させて回復を待つというテツガクなのだろうか。直観的に後者のほうが副作用が少ないように素人には思える。さて、鍼のメカニズムについてどのような仮説が提案されているのか、まずはこの解説記事から読み込んでいこう。■

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?