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科学雑誌を素人が読む[495]

『ネイチャー』2021-11-04号の目次が公開された。カバーストーリーは、「クジラのエサの量を測る」という生態学の研究。エサとは「オキアミ」(krill)――小さな甲殻類だとか(エビに似ている)。

論文のタイトルは「高分解能の採餌測定に基づくヒゲクジラの餌消費量」。〈高分解能〉ときた!(期待させる)。クジラは大海を長距離にわたって泳いでいるわけで、どうやってその食生活に迫るのだろうか? という疑問がまず浮かぶ。さいわい解説記事「クジラの旺盛な食欲」のPDFは非定期購読者でも読めるのでありがたくダウンロードさせていただく。

ざっと眺めると、7種のヒゲクジラに「タグ」をつけて餌の推定を行ったとのこと(データロガーのことだ)。タグの個数は321個と書かれている。かなり多い。1頭に複数のタグを取り付けたのだろうか。タグによって餌の密度をどうやって測るのかというそもそもの原理も気になる。調査の結論は、「ヒゲクジラ類のオキアミ消費量は、過去の見積もりをはるかに上回る」というものらしい。ふーむ。そうなのか。

データロガーを使用した今回の調査がどの程度の海域の広さを対象に行われたのかは論文の本文を読まないとわからないけれど、上記のセンサー数からしても、おそらく大規模なもののような気がする。ならば「エサの量の測定」以外にもさまざまな計測プロジェクトが相乗りしているのではなかろうか? ほかにどのようなデータが測定されて、どのような考察がなされているのか(予定されているのか)知りたいところ。

タグがつけられた個体群のうち何頭かは今でも大海を悠々ゆうゆうと泳いでいることだろう。そのデータは、論文が書かれた今でも拾われていたりするのだろうか? 部外者でも閲覧できるのだろうか? などと瑣末さまつなことも気になってくる。■


【追記】
✅『ネイチャー』2021-11-04号[URL
✅[論文]「高分解能の採餌測定に基づくヒゲクジラの餌消費量」(Baleen whale prey consumption based on high-resolution foraging measurements)[URL
✅[解説記事]「クジラの旺盛な食欲」(A whale of an appetite)[PDF

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