科学雑誌を素人が読む[494]
科学誌に掲載された科学書の書評には必ず目を通す。『ネイチャー』2021-10-28号の書評ページでは「生命の歴史」系の本が紹介されている。このテのノンフィクションはおりおりに刊行される印象がある。ゆえに、生命体が現れてからホモ・サピエンスに至る46億年の歴史をいかに魅力的に描いているかというサイエンス・ライティングの文体こそ読みどころと考える。
紹介されているのは、『地球上の生命の(極めて)短い歴史』(A (Very) Short History of Life on Earth)という本――副題は「46億年の歴史を12章で紹介」(4.6 Billion Years in 12 Pithy Chapters)。ネイチャーの古生物学専門の編集者の筆による。学者による本ではないことに注目する。というのも、書き手が専門家だと、記述の正確さにこだわりすぎたり、同輩の研究者たちの目を気にしすぎたりして文章が硬くなりがちだから。ざっくりとした概要を知りたい素人の読み手としては、専門家どうしの学説対決などとは無縁の立ち位置からのクールな眺め/エレガントな語り口が欲しかったりする。この本はどうなのだろう。期待したい。
惜しいのは頁数――288頁ある。厚い。書名に「A (Very) Short History」と謳っているのだから、せめて200頁以下に収めてほしかった。日本語訳されたら300頁台後半になってしまうだろう。
出版社のサイトから抜粋を読めるようだ。まずは文体を味わってみることにする。■
【追記】
✅ネイチャー 2021-10-28号[URL]
✅同号の書評ページ[URL]
✅出版社のサイト[URL]
✅あるいは長いノンフィクション本を読む「新たな読み方」を個人的に考案・実践するよい機会と考えることもできる。