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科学雑誌を素人が読む[392]

『サイエンス』2021-07-23号書評ページへ。紹介されているのは、『ノイズ――人間の判断力の弱さ』(Noise: A Flaw in Human Judgment)という新刊。まずは、この本のメインメッセージを示す1文を記事から引用してみる:

「判断があるところにはノイズがあり、それはあなたが思っている以上に多い」*¹

まあ人間だもの。判断は人によってばらつくのが普通だろう……とまずは軽く考える。実際この本では、ワインのテイスティングや映画評論などにおける評価のばらつきに注目しているようだ。

しかし、それ以外にも例えば、雇用、業績、経済、がん診断、財務、法医学、そして裁判!などといった、評価のブレ(すなわち意思決定ノイズ)の程度によっては、被評価者の人生を変えてしまうようなシリアスな分野についても考察されているようだ。興味深い。ノイズの発生する契機にパターンなど見られるのだろうか? という疑問が浮かぶ。

記事のトーンからは、専門家向けというよりもっと広い読者層にアピールする本のもよう。そして3人の著者のなかにダニエル・カーネマンとキャス・サンスティーンが含まれることから、原書で464頁と厚いけれど、おそらく訳書が遠からず刊行されるのではないかとにらむ。そのあかつきにはぜひ読んでみたい。■


[追記]
✅*¹[原文]“wherever there is judgment, there is noise, and more of it than you think.”
✅[出版社のサイト] 抜粋を読めるようだ。

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