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科学雑誌を素人が読む[484]

週刊科学雑誌『ネイチャー』2021-10-21号に掲載された論文のラインアップを眺める。全19本。掲載順序をシャッフルしたタイトルを並べてカード化した(訳は『ネイチャー』 日本語ページから引用、B7用紙に出力可能):

【ピックアップ】

✅⑫レチノイン酸による前頭前野のパターン形成と神経結合形成の調節論文]+⑬CBLN2のヒト族特異的な調節が前頭前野のスパイン形成を増加させる論文]➣エントリ[481]で言及。⑬に関してその後、解説記事を読んでみたら、CBLN2の発現を高めるように遺伝子操作したマウスを既に実際に作っていたことが書かれていた(そうなのかよ)。具体的には、ヒトで発現の活発な遺伝子の制御配列をマウスへぶちこんでみたということ――ヒト化マウスの実作だ。素人としては当然、”アルジャーノン”が出来たのかどうかが気になるところ。けれど、作られた個体についてはその脳内細胞の観察しか記述されていないもよう。その個体の行動面での変化が(もしあれば)知りたいんだけどな。研究者は実際に見ているはず。ただ論文に書いていない(書けない)だけと想像する。

✅④導電性非磁性物体の磁気的な微細操作論文]➣タイトルだけ読むと小難しいのだけれど、要するに「磁気を帯びてない金属を電磁石で引き寄せる方法がある」ということの報告らしい。この方法の将来的な応用として、宇宙ゴミ(スペースデブリ)の回収に使えるのではないかと解説記事の冒頭に書かれている。おもしろそうだ。原理はどういうものなのかちょっとかじりついてみたい。届いたばかりの『サイエンス』2021-10-08号の特集記事「The fault in our stars」では、急増する人工衛星による害について紹介していて、スペースデブリによる宇宙環境問題についても触れられているのだけれど、衛星打ち上げ会社というのはそのあたりの目配りとかしているのだろうか。

✅⑧大気中を浮遊するマイクロプラスチックの直接放射効果論文]➣海中だけでなく空中にもマイクロプラスチックがただよっていてそれがどのような効果/影響をもちうるかという予備的報告という位置づけっぽい。➣エントリ[481]で言及。➣測定法についても触れている動画を見つけた:

✅⑪キイロショウジョウバエにおける睡眠中の感覚処理論文]➣エントリ[481]で言及。論文著者たちによる動画を見つけた。➣ハエの睡眠/覚醒を見極める(自動追跡する)装置は「エソスコープ」(ethoscope)と呼ばれるものらしい。この語はおそらく「stethoscope」(聴診器)という語をもじって作られたと推測する。「etho-」という接頭辞は「動物行動学の」という意味がある。デモ動画を見つけた:


【追記】
✅『ネイチャー』の解説記事は現在、PDFファイルとして非定期購読者でも閲覧できる状態となっている(今後はどうなるかわからない)。読むためには、日本語ページへ飛んで「News & Views」の[PDF]のタブを押すとファイルが開く。あとはダウンロードして紙に印刷して読むだけ。

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