ホイール剛性が操縦安定性に及ぼす影響
今回は、ホイールの剛性の変化すると、車両の動的性能にどのように影響、変化するのか。
簡単に言うと、ホイールに補強を加えると、車の挙動は変わるのか、という研究をした論文のお話です。
出典:自動車技術論文集vol.46,No2,
この研究では、既存のホイールに補強を加えて、そのホイールを実際に車両に装着させて、データーを分析しています。
その結果、ホイールのディスク部分とリム部分の剛性が、実際の車両性能にそれぞれ異なる影響を与えることが確認されました。
また、ホイール剛性とタイヤ接地パッチ特性の関係を調べるためのテストも実施され、これらの結果から、ホイール剛性がタイヤ接地特性に大きく影響することが確認されました。
さらに、ホイール剛性に適切な値と、しきい値が存在することも確認されました。
この研究を使って、足回りのチューニングに、高価な部品を買わなくても、自分の力で挑戦できる、面白い結果が出ているので、お楽しみください。
それでは、はじめます。
ホイールの剛性が、操縦安定性に影響するということは、分かっていて、軽くて高い剛性が求められていました。
それなのに、操縦安定性との関係が、今まで報告されていなかったので、この研究が実施されました。
実験の方法
実験の方法は、ホイール剛性とサスペンション剛性、およびタイヤ接地特性との関係について、完成車による台上試験と、実車での操安性試験を行いました。
ホイール剛性は、比較するために4種類用意されました。
(1) 基本仕様
(2) ディスク剛性を高めた仕様
(3) リム剛性を高めた仕様
(4) ディスクとリムの剛性をともに高めた仕様
の4種類です。
それぞれの、補強はイラストのように行われて、リム補強については製造都合により樹脂系材料が使用されています。
実験は、周波数応答試験、定常円旋回試験、官能評価という3つの内容で行っています。
周波数応答試験とは、ホイール剛性による応答性への影響について確認するために、時速100kmと同じ物体の運動量の変化に等しい入力を与えています。
定常円旋回試験とは、読んで字のままで、車両を半径30mを同じラインでグルグルと旋回させます。
官能評価とは、人の好みなど、機械では測定できない物を評価しています。
結果
個々の結果は、次のようになりました。
周波数応答試験では、基本仕様と比べて、ディスク剛性を高めた仕様の方が、共振周波数が高まり応答性に効果がありました。
その反面、基本仕様と比べて、リム剛性を高めた仕様は、応答性が低下、さらに、ディスクとリムの剛性をともに高めた仕様は、全てのホイールの仕様の中で最も応答性が低くなってしまいました。
次の定常円旋回試験では、基本仕様を基準として、リム剛性を高めた仕様が、最大横向き加速度が高くなり、限界性が向上しました。
一方で、ディスクとリムの剛性をともに高めた仕様は、最大横向き加速度が低くなり、限界性が低下しています。
この2つの実験のデーターから、ディスク剛性とリム剛性が、操縦安定性に対して及ぼす影響が異なることがわかりました。
また、ホイール補強を多く施した状態、つまり剛性は高い仕様であっても操縦安定性が低下する場合があるという結果になりました。
ここまでは、実験で取れたデーターをもとにして評価していますが、最後の官能評価は、これらを裏付ける結果になっています。
この結果は、とても興味深い結果になりました。
基本仕様と比較して、ディスク剛性を高めた仕様は、機動性は高いが、安定性が低下しました。
基本仕様と比較して、リム剛性を高めた仕様は、安定性は高くなりましたが、運動性が低下しました。
基本仕様と比較して、ディスクとリムの剛性をともに高めた仕様は、運動性が低くなり、安定性も低下してしまいました。
この実験結果から分かることは、サスペンションと同様に、ただ硬ければ良い訳ではなく、柔軟性が必要ということが分かります。
そして、この結果を利用すれば、最も自分の理想に近いセッティングが、可能になるでしょう。
ここまでで、補強の内容が操縦安定性に影響を与えるということが、分かったと思います。
でも、影響を与えると言っても、実際にどのように動いているのか判りませんよね。
でもこの動きがが理解できると、自分で走らせているときに、タイヤとホイールの動きがイメージできて、ただ乗り回すのではなく、【操る】、という次元に到達できると思います。
いままで、乗せられていたクルマを、走行中のタイヤとホイールをイメージすることで、【クルマを操る】のです。
ということで、ここまでが無料の内容でした。
と、思ったのですが、チョットだけ関連するお話をして見たいと思います。
車検に通るアルミホイール
アルミホイールって、車検に通る、通らないがありますよね?
J W Lマークがどうとか、V I Aがどうとかってありますが、これってなんで付いてるんでしょうか?
良く知られているのが、J W Lのマークだと思います。
このマークは、どんなアルミホイールでも表示してよいものではないのです。
知ってましたか?
意外と厳しい検査を合格して、あのマークの表示が許されます。
ちなみに試験内容を、さっくりとお伝えすると、回転曲げ試験、衝撃試験、負荷耐久試験という3つの試験が行われます。
詳しい試験の内容は割愛しますが、この試験は日本の規格でJWLやJWL-T、 VIAの表示がされています。
基本的に、この3つのうちどれかの表示がないと車検は通りません。
メーカー純正のアルミホイールの場合、メーカーのマークがあるので、それが確認できれば大丈夫です。
それ以外の表示に、DOTとDOT-TやSAE J2530等のアメリカの規格の表示も大丈夫です。
ということで、ここまでが無料の内容でした。
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