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【ショートショート】みっともないと陰で笑われても、私は私でいることにした。
自分の意思とは裏腹に、じんわりとパンツが湿るのを感じた。
ああ、また今月も来たんだな、と思うと同時に、嫌な予感がして恐る恐る立ち上がると、椅子に間抜けな血の跡がついている。
ため息をつきながら、ということは、パンツを通り越してスカートも汚れているってことで…
それがどれだけ面倒なことかは女性の体を持ったことのある人なら分かってくれることを私は期待する。
それにしても、この血の跡の形、女性器みたいで
【ショートショート】僕だけの真実は僕にしか見えないという孤独
真夏の熱帯夜、僕はトイレで歯をがたがた言わせながら震えていた。
もちろん、寒いわけではない。具合が悪いのでもない。
ただ、なぜだか体が自分の制御出来ない部分で激しく何かに反応を示しているのだった。
僕は自分の体が震える通りに尿も同じ方向に飛んでいくのを眺めて不思議に思いながらも、この時はまだ睡眠欲の方が勝っていた。
トイレを済ませ、ドアを開けると、漆黒の闇が広がっていた。
夜の月明かりや、街灯の灯
【ショートショート】特別な人間なんていないという不都合
あなたの大きなお腹を見た時、恐ろしさで言葉を失った。
壊れちゃう、と思った。
人間には耐えきれないほど、異常ほど大きく膨らんだお腹は、子供が健やかに育つことが優先で、正直母親の体なんてどうでもいい、と言っているようだった。
皮膚は極限まで伸びてパンパンに張り詰め、爪楊枝でも刺したらそこから大量の血が吹き出て貴方が死んでしまうんじゃないか。
わずかな段差で躓いたら破水してしまうんじゃないか。
そう思
【ショートショート】一寸先にはお前がいてほしかった私ではなく私がいてほしかった私がいてほしい
目覚めたら、固いベッドの上にいた。
天井は無数の黒い穴が開いてるタイプで、眺めていたら段々気分が悪くなって、私は視線をそらした。
気持ち悪いな。
って思うってことは、私は生きているんだろうな。
地獄にも天国にも行けなかったんだな。
結局お前、大したことねえじゃん、意気地なし。
悔しさからなのか、絶望からなのか、なぜだか分からないが自然と涙が出た。目尻からこぼれて、髪の間を通って、耳の穴の中に入って