《15》お茶業界の事例(茶園清水屋)
業界別のSDGs事例紹介。
今回は「お茶業界」の事例をお伝えします。今回ご紹介するのは、宇治市の茶園清水屋(伍町㈱)。抹茶の原料となる碾茶(てんちゃ)の製造販売とハイブリッドな茶農業を営む300年の歴史を持つ茶農家です。
同社には伝統農家ならではのこだわりがあります。江戸時代より400年にわたり続く伝統の「覆下(おおいした)栽培農法」では、新芽が伸びる春先に覆いをし、遮光することにより茶葉本来の芳醇な香り・うまみを引き出します。また、年に一度だけ収穫する最高品質の新芽は、熟練の摘み子が適期を逃さず手で優しく丁寧に摘み採る「手摘み」を徹底するという「手摘み一番茶」にもこだわっています。
2016年5月には宇治市内の碾茶農家として初となる「有機JAS認定(※)」を取得。また、20年には「SDGs茶農家宣言」を行い、「For a Child, For a Future」のテーマを掲げ、日本の未来のために、そしてこれからの時代を担う子どもたちのために「日本茶」の文化を継承していくことを誓っています。気候変動の影響で栽培環境が悪化していく中、伝統農法と最新技術を融合させた「ハイブリッド茶農家」として、これからも最高品質の宇治碾茶を作り続ける決意をされています。
このような長い歴史と高い品質、更にSDGsへの積極的な取り組みが目に留まり、ラグジュアリーホテルから声が掛かり、同社の抹茶が採用されたそうです。
最近、「日経MJ2021年上半期ヒット商品番付」の東の横綱に「サスティナブル商品」が選ばれたというニュースがありましたが、これからの消費者はますます環境に配慮した商品に信頼や共感を寄せる傾向が見られます。こういった「SDGs時代」のニーズをつかみ、たとえ派手さがなくても日頃から地道にSDGsの取り組みを行い、発信していくことが新たな取引先や販路の開拓につながっていくのではないでしょうか。
(※注釈)有機JAS認定・・・農薬や化学肥料といった化学物質に頼らず、自然の力で生産された食品を示すもの。
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