日本国内の頭髪化粧品業界初の最高位「Sランク」を取得! 中野製薬の新工場を紹介
中野製薬製造 生産本部 QAの矢津田です。
私の所属部署のQAとは「Quality Assurance」の略称で、品質保証を意味します。
高品質な製品を安定供給し、あらゆるお客さまに安心してご使用いただくため、工場でつくる製品の製造工程や、製品の品質などを日々確認し保証しています。業務の内容としては、工場へ入荷した原材料に問題がないか、工場でつくった製品に問題がないかなど、様々な分析機器を使用し化学的な評価を行っています。
最近では、2024年4月に、現工場の隣地に新工場を竣工しました。これを機に、化粧品の製造や品質に関する国際規格「ISO22716」の取得を目指し、製造に関わるあらゆる手順を整理し、書類などの整備を進めています。
私は新工場建設のプロジェクトにも携わらせていただき、プロジェクトメンバーと一緒に多くの検討を重ねてきました。今回は、その新工場について少しだけ紹介させていただきたいと思います!
新工場について
現工場である草津工場は1973年(昭和48年)から稼働を開始し、これまで約50年もの間、私たちの生産活動を支えてくれました。長い年月の間、休むことなく稼働してきたことで老朽化が進み、徐々に維持管理を行うことが難しくなってまいりました。さらに、竣工当時の草津工場は、化粧品製造において最先端のレベルであったと先輩方より伺っていましたが、近年求められる品質基準に適応し、より高い水準で品質管理体制を保証していくためには、建物や設備の構造上の課題を解決する必要がありました。また、多くのお客さまにご支援をいただくなかで業績が伸びていることもあり、将来を見据え、新工場は生産能力を従来の2倍となるよう設計しました。
世界的に物価が高騰するなか、会社が新工場建設という大きな投資を決断したことは、生産本部に所属する社員としても大変ありがたく喜ばしい思いです。
生産部門として、生産効率を高めていくことは永遠のテーマであり、最も優先すべき課題のひとつです。新工場では、新たな設備やシステムを導入するなど、現工場では実現できなかったハード面の改革を進めることにより、高品質なモノづくりを行うとともに生産能力を大幅に引き上げることが可能となりました。
ここで、新工場の特長をいくつかご紹介させていただきます!
管理区域と清浄度の維持
安定した品質を保つためには、製造場所の衛生管理は欠かせません。新工場では、原料の秤量や、内容液の調合および充填を行うエリアを、クラス10万相当※という棟内で最も清浄度の高い区域として設定し、空調管理を行っています。また、製品の包装を行うエリアもクリーンルームとしています。このような管理区域の清浄度を維持するため、管理区域へは、決められた手順で指定の更衣服を着用する必要があり、教育を受けた者のみ入室ができるといった厳しいルールを設けています。
※0.5μm以上の微粒子が1立方フィートのなかに100,000個以下であること。
MES、自動倉庫の導入
新工場では、新たなシステムを導入することでDXを大幅に進めることが可能となりました。例えば、MESと呼ばれる製造実行システムを導入することにより、これまで人が行っていた作業の一部をシステムで補助することができ、生産効率や品質の向上が見込めます。また、新たに導入した自動倉庫は高さ約30メートルで、2600枚ものパレットを収容でき、専用の端末で指示することで、原材料や製品の入出庫を自動で行うことができます。これにより、モノの搬送工数を大幅に削減することが可能となりました。
環境性能と地域との共生
新工場の正面には「YOSHIZU SKIN」と呼ばれる独創的な形状をした有孔折板が配置されています。
有孔折板とは、穴の開いた鋼板を重ねてつくられたもので、「YOSHIZU」の名の通り、滋賀県の名産品である「葦簀」をモチーフとしてデザインされています。晴れた日には適度に日射を遮断し、木漏れ日のような光を廊下へ取り入れるとともに、直射日光を避けることで熱負荷を低減させる効果があり、省エネにも貢献しています。その他、棟内には滋賀県産の木材家具や麻布のカーテンを採用し、正面玄関の壁面には「信楽焼タイル」を使用するなど、地元の特産品を使用することで地域との共生を目指しています。
CASBEE評価認証
新工場では、CASBEE(建築環境総合性能評価システム)の認証を得るための準備を進めています。CASBEEとは、省エネルギーや環境負荷の少ない資機材の使用といった環境性能や、室内の快適性や景観への配慮なども含めた建物の品質を総合的に評価するシステムです。評価区分は上からS、A、B+、B-、Cとありますが、当社ではSランクを取得することができました。Sランクの取得は、日本国内において頭髪化粧品業界では初となります※。
※ 当社調べ(2024年5月31日現在)
WELLNESS
新工場は、従業員が仕事に誇りを持ちのびのびと健康に働くことができるよう、ウェルビーイングを目指したワークプレイスとなっています。
例えば、屋外の景色が見えるガラス張りで開放的な食堂は、食事だけでなく従業員のコミュニケーションの場としても活用できます。
また、女性更衣室は、化粧のできるアメニティスペースとしても活用でき、女性も働きやすい環境となっています。
工場のメイン廊下には、壁面に直接書き込みやマグネットの使用ができる大きな掲示エリアがあり、情報共有やコミュニケーションの活性を推進しています。
こういった工夫の背景には、私たちがより働きやすい環境で仕事ができるよう、新工場建設当初に従業員が集まってワークショップを開き、「どのような環境で働きたいか」「どのような工場にしたいか」など、私も含めて皆で意見を出し合い検討してきたことが挙げられます。その結果、エントランス、食堂、会議室、事務所などは従業員の意見が数多く反映されています。
最後に
新工場建設には、建設会社さまやコンサルティング会社さまだけでなく、多くの当社社員も幅広い分野で関わり、検討を重ねてきました。当社には、自分たちの未来を自分たちで考え、未来をつくりあげていくための土台があります。今回の新工場建設を機に、生産部門が望む未来に向けて大きく前進することができましたが、私たちがこれらの新たな仕組みを使いこなし、私たち自身も更に成長しパフォーマンスを上げることで、今後もモノづくりを通じてお客さまを支え続けていきたいと思います。
今後の中野製薬にもぜひご期待ください!
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