出張編集部で聞いたWEB漫画戦略
「コミティア」をご存知でしょうか。
オリジナル同人誌の即売会で、サークルスペースとは別に「出張編集部」という各出版社がひしめくブースがあり、そこでは自作漫画の持ち込みができます。
自分も某出版社に持ち込んでみたところ、「君の漫画、ここはこうした方が良いと思うよ!」などのアドバイスではなく、それ言っても良いのか??とビビるくらい業界の裏側を教えてもらえました。
要は「出直してこい」という趣旨ですがこれはこれで珍しい経験だったので、何かの参考になればとここに書き記したいと思います。
…
その出版社は女性向けWEB漫画がメイン。
まず大手漫画配信サイトに企画を提案し、通ったものを漫画化する業態。
ちなみに、企画が通りやすいジャンルは大体決まっているとのこと。
■女性向け
・女性社会
・シンデレラストーリー
・共感もの(不倫・セックスレス)
■男女共通
・復讐もの
・デスゲームなどの生死が関わるもの
…確かに漫画サイトのランキングを見れば納得。
逆に言えば、これ以外はほぼ通らないそうです。
これはWEB漫画が紙の漫画とは違う成り立ちであることが関係しています。
歴史を遡るとガラケー時代(2007年)そこまで普及していなかった電子書籍70億円市場のなんと約97%がTL(ティーンズラブ)の売り上げ。
今でこそ漫画配信サイトは多種多様であるものの、最初期を支えた“書店であの妙な小ささの分厚いおピンクな漫画雑誌を買うのが恥ずかしいTL層“がそのまま現在の30、40代女性読者層にスライドしている状況。
彼女たちが好む漫画の傾向・どこでクリックしたか、購読継続率、課金率などはデータで細かく分析され続け、今からそれを覆すことは困難です。
もう一つ、スマホ媒体ならではの話だと思ったのが「ライバルはLINE」ということ。
いくら無料漫画でもLINEの通知が来たら人はそちらを優先してしまう。
一旦サイトから離れた読者をいかに戻って来させるかにかかっている。
つまり、先に紹介したジャンルはそれを達成している/しやすいのです。
「つかみ」ーそれは漫画に限らず全てにおいて大事だと言えるでしょう。
今回の持ち込みで人の心・時間を掴むとはどういうことか改めて考えさせられました。
ネットコンテンツ大航海時代・LINEという名の嵐まで吹き荒れる中、不倫も復讐も出てこない当記事をここまで読んでくださりありがとうございました。
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