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佐川町立図書館のこれまでとこれから

2024年12月開館予定の『佐川町立図書館 さくと』学び合いスタジオの企画運営を担当している大道です。 今回新たに建て替えられる佐川町立図書館ですが、実は佐川町の図書館には100年以上の歴史があるんです。

100年前の佐川町の図書館

佐川町における図書館のはじまりは、明治43年(1910年)に県内初の私設図書館として公開された「川田文庫」といえるでしょうか。当時の郵便局長だった川田豊太郎が西町の自宅の養蚕室を改装して数千冊の書籍を一般町民に開放しました。大正3年(1914年)には一万冊をこえる所蔵になっていたそうです(「佐川町史下巻」, 1981年, p.76より)。今でこそ本を誰もが手に取ることができますが、この時代において本を閲覧できる場所が開かれているというのは、地域にとってすごく意味のあることだったのではないでしょうか。大正14年(1925年)には佐川町出身の宮内大臣、田中光顕伯爵より寄贈を受け「青山文庫」が開館しました。

当初の川田文庫の様子(佐川町教育委員会資料)

やがて「青山文庫」は貴重資料や郷土資料などを扱う博物館相当施設となり、一般町民に向けた本の貸借機能としての図書室は、昭和54年(1979年)に佐川町文化センター内に開館します。平成10年(1998年)には、町民からの要望もあり、町の中心部からアクセスのしやすい富士見町へ移転しました。

富士見町にあった佐川町立図書館(2021年)

富士見町の図書館となった建物はもともと法務局として使われていたものでした。平成18年(2006年)になるとNPO法人とかの元気村が指定管理を受け、平成28年(2016年)まで約10年間運営管理を行ってきました。図書館ではない建物で、図書館経験が浅かったスタッフによる運営は数々の困難があったようですが、様々な工夫や地域の人に助けてもらいながら運営していったそうです。そのような変遷を経て、平成26年(2014年)にはNPO法人とかの元気村のメンバーが中心となり佐川町立図書館整備検討委員会が発足し、新しい図書館をつくることへの機運が高まってきたのです。

近年、高知県内では図書館整備の動きが盛んで、2018年の梼原市立図書館「雲の上の図書館」や「オーテピア」高知図書館の開館を皮切りに、2020年には土佐市立市民図書館「つなーで」、2022年には香美市立図書館「かみーる」が開館し、その流れのなか2024年に『佐川町立図書館 さくと』が開館することになります。また、須崎市、南国市、土佐町でも新しい図書館の整備が進んでいるようです。

これからの図書館

1950年に制定された図書館法によると、

「図書館」とは、図書、記録その他必要な資料を収集し、整理し、保存して、一般公衆の利用に供し、その教養、調査研究、レクリエーション等に資することを目的とする施設で、地方公共団体、日本赤十字社又は一般社団法人若しくは一般財団法人が設置するもの(学校に附属する図書館又は図書室を除く。)をいう。

図書館法第2条

とされています。図書や記録や資料のみならず、図書館が扱う必要があるものを「情報」と読みかえると、これからの図書館は、本というメディアに限らず、デジタル技術等で生成される文字だけに限らない「情報」や、デジタルでは得ることのできないナマの「情報」をどのように扱い、そしてそこから何を生み出すことができるのか、そして地域のコミュニティーにしかできないこと、外とのつながりによってできること、その媒介として図書館がどのような役割を果たし、資することができるのか、がより重要になってくるのではないでしょうか。

人口減少の最先端にある地域で、なにをコモンズとして共有し、活用し、どのように豊かに暮らしていくことができるのか。そこで受け継がれてきた文化や歴史をどのように継承、保存していくのか。生まれてくる子どもたちをはじめ、なにを未来に残すことができるのか。そこに図書館という公共施設がどのように関わっていくことができるのか。僕は図書館が持っている可能性にものものすご〜く期待をしており、だからこそ佐川町立図書館に関われることに大変嬉しく思います。様々な課題に自分の学びや考えが全然追いついていませんが、『さくと』の学び合いスタジオでは、みなさんと一緒に学びながら、一緒に考え、実践していける場をつくることができたらと思っています。


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