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ニコラス・カルペパーの窓|Shirakaba lab × 高田怜央 × Du Vert au Violet|『ラーヘンデル薬草香譜〜Lの巻』

『ラーヘンデル薬草香譜~Lの巻』

 はじまりは、一杯の清洌なハーブティでした。

 透明な空間に端正に佇むハーブたち、封を切った時の鼻腔をやさしく通り抜ける乾いた香り、湯を注げばガラスポットの中で広がる色彩のアレンジメント、馥郁とした香りと共に口中を満たす美しい味わい——

Shirakaba lab|Lのハーブティ
(本コフレ収録)

 「白樺」という土地で丹精されたハーブティの一杯に憧れを抱き続けて幾年——光栄にも、「菫色の小部屋(霧とリボン実店舗)」閉廊の年となった2023年、企画展にご参加頂くことが叶いました。
 ハーバリスト・Shirakaba lab様が纏う、ハーブティの佇まいそのままの澄み渡った北の空気。お会いする度に北の地への想いはつのり、奇しくもお互い「旅」を通して豊かなハーブの世界に出会った経験も重なり、コラボレーションによる「ハーブを辿る旅」を夢想するようになりました。

 もうおひとり、かかせない、北の地を知る旅の仲間をひそかに心に留めていました。

 英国スコットランド育ち、言語と書物を旅する詩人・翻訳家の高田怜央さま。ヴァージニア・ウルフ『オーランドー』にまつわる玲瓏なエッセイにいっぺんで魅了され、以来、ご活動を追ってきました。

 英語と日本語、ふたつの言語を旅しながら生まれる詩の気息、そのモダニティ。軽やかでありながら、言葉の道からふと覗く外つ国の荒野の質感。
 昨年、編集者・鈴木真理子さまのご紹介により、少年オーランドーのごとく颯爽と、菫色の小部屋にあらわれた高田さま。最終幕の企画展へのご参加も嬉しく、今夏は川野芽生さまとの共著『黎明通信』のデザインを担当させて頂くことで、編集者としての怜悧なご才能にも触れる機会に恵まれました。

 想像力を羅針盤に、現代まで受け継がれてきたハーブの水脈を旅したい。一度、生を終えた(摘まれた)植物たちが乾燥、あるいは蒸留されることで新しい命を宿す/再生する力を私たちの文法で表現し、未来へと繋いでゆきたい——そのような想いからお二人へお声をかけ、本コフレは誕生しました。

 さぁ、架空の北の地「ラーヘンデル」へ出発する準備が整いました。

 ラーヘンデル史家「レオ・エリザベト・タカダ」が謎を追って旅した記録が「ラーヘンデル」を知る手がかりです。

 ハーブの香りに誘われて、ぜひ一緒に悠久の時を旅しましょう。
 北の薄闇を写したグレイのボックスをあけて、いざ、ラーヘンデルへ!

『ラーヘンデル薬草香譜〜Lの巻』旅行記(高田怜央)より

 北に位置する架空の地「ラーヘンデル|Lavendel」にかつて存在した「ラーヘンデル薬草香院」の歴史・記録・処方箋が封印された事典。巻数はA〜Zまで。「旅行記」「ハーブティ」「ポプリ」、その他エフェメラ類で構成される。
 折に触れて一巻ずつ現代に届けられ、本コフレは記念すべき第一弾であり、最初の巻は「L」、つまり「Lavendel|ラーヘンデル」の巻である。巻が進むごとに、ラーヘンデル薬草香院の営みが少しずつ明らかになってゆく。

『ラーヘンデル薬草香譜〜Lの巻』
セット内容

 事典の佇まいとなるよう自立するスリーブ式ボックスを採用。書棚に並べて飾ることができます。

構造上の縦スリットも
ボックスに端正な雰囲気を与えています

 ラベルには薬草香院(Apotheka Lavendel|アポテカ・ラーヘンデル)の紋章と本巻を表す「L」の文字。紋章の下には旅行記からの欠片「Amethyst Eyes: Bearers of Forgotten Lore(紫水晶の瞳:失われた伝承を担う者)」。

『ラーヘンデル薬草香譜〜Lの巻』旅行記(高田怜央)より

 紫水晶の色彩を写した封蝋には薬草香院の刻印を。
 「フラノ山」の頂には本巻に登場する三名「ラーヘンデル史家」「薬草師」「調香師」を象徴する三つの星が煌めいて。書物(事典)をひらいた図案にApotheka Lavendelのイニシャル「A」「L」の文字。両脇をラヴェンダー(ラーヘンデル)が飾ります。

 本コフレにセットされる
主要全10アイテムをご紹介します

 スリーブ式ボックスから最初に覗く扉となる一枚は、薬草香院『処方箋集』の装丁を飾ったマーブル紙をイメージして。院の薄闇の中で「紫水晶の瞳」が煌めく配色。

 遥か昔の院の空気を伝えるよう古びた質感を目指し、一枚一枚手染めで制作されたマーブル紙は全て一点物です。

 次にボックスから登場するのはリーフレット。ラーヘンデルという土地、薬草香院の秘密を解く三篇が封入されています。

 「旅行記(高田怜央)」「ハーブティ処方箋(Shirakaba lab)」「ポプリ処方箋(Du Vert au Violet)」が薄闇色の畳紙に包まれ、漆黒の蝋引きコットン紐で結ばれています。

畳紙から覗く本巻「L」の文字
旅行記、ハーブティ処方箋、ポプリ処方箋

 ラーヘンデルの歴史を記録した、謎を解く主要な鍵となる一篇。最初の項目「L(ラーヘンデル)」について綴られた蛇腹状のリーフレットです。
 旅行記の存在によりハーブティとポプリが「失われた伝承を担う者」としての役割を得、いにしえから受け継がれてきたハーブの神秘を未来へと繋ぎます。

『ラーヘンデル薬草香譜〜Lの巻』旅行記(高田怜央)より

 架空の土地の考古学的資料である本篇は、稀有なる想像力と哲学的思索の賜物。史実に伴走する硬派な文体、その内に沈静するノスタルジックな絢爛、精巧な記述により、北の地ラーヘンデルの冷たい空気が頬を過ぎることでしょう。

蛇腹状リーフレットの表裏

『ラーヘンデル薬草香譜〜Lの巻』旅行記(高田怜央)より

 ひそやかに院に伝えられてきたハーブティの処方が詩のように綴られた一篇。澄んだハーブティの一杯と共に、薬草師の営みへ想いを馳せて。

 ハーブ、スパイス、精油を一定期間熟成して壜詰めされたポプリ。旅を経て秘匿の処方を編むに至った道程を伝える一篇。

 本コフレの各所に配されている植物模様は、院内薬草室の床タイルを写したもの。ラーヘンデル(ラヴェンダー)と星の図案のアレンジメントです。
 ポプリ小壜や小間物類、装身具などを飾るためのペーパードイリー(小さな敷物)としてもご活用頂けます。

『ラーヘンデル薬草香譜〜Lの巻』旅行記(高田怜央)より

 ラーヘンデル史家の考証へのオマージュとして、紫水晶の欠片を封入しました。

グラシン紙製ペーパーサシェ入り
「紫水晶」は菫色の封筒に封入

 ほか、同じ菫色の封筒には解説書やクレジットタグが入ります。

 院内でハーブの処方箋を記録するために使用されていた薄紙一筆箋。床タイル柄が片面に刷られ、片面は白、菫色の畳紙に10枚セットされています。

 最後に現れるのは、旅行記に登場するハーブティ(薬草茶)とポプリ。
 旅行記を読みながらふたつの処方に触れ、馨しいラーヘンデルの歴史を受け継いで頂けましたら嬉しいです。

 北の地で培われたハーブへの誠実な眼差し、美への飽くなき探求、風味へのひときわ繊細な感覚——自然のみ恵みを洗練の作法で処方した一杯です。

絵画のように配されたハーブたち
ポットの中で美しく広がるハーブ

 ハーブティをお召し上がり頂いた後もその美しき姿をコフレに留められるよう、ハーブティ・カードをセットしました。

 「プライヴェート・ポプリ」とは、室内香ではなく、読書するように一対一で香りと対話するポプリ。香りを楽しみたい時にコルク栓を開けて、一ヶ月以上かけて熟成した深く優しい香りをひとときお楽しみ下さい。
 本ポプリには、Shirakaba lab様からご提供頂いた貴重なハーブ類が調合されています。ラヴェンダー、薔薇、矢車菊の選び抜かれた美しい色彩も見どころです。

Shirakaba lab様からご提供頂いた
ラヴェンダー、薔薇、矢車菊の美しい色彩

 持ち歩き用ベロア巾着とプライヴェート・ポプリの楽しみ方や注意事項を明記した解説書も付属します。



以上、主要10アイテムをご紹介致しました。

 植物柄の薄紙で包み、漆黒の蝋引きコットン紐を結んでお届けします。

 コフレとは、携帯もできるもうひとつの「私ひとりの部屋」。
 時折開封して、五感を研ぎ澄ますひとときをお過ごし下さい。感じたこと、考えたことがその都度小箱に仕舞われ、開封するたび、自身の記憶と新鮮に出会うことでしょう。その積み重なりが「私ひとりの部屋」を形作ってゆくのではないでしょうか。
 皆様だけのラーヘンデルの旅日記(詩・短歌・エッセイなど)をぜひ綴ってみて下さい。

 本コフレはシリーズ企画となります。
 次はどの巻が届けられるのか、どうぞご期待下さい。

『ラーヘンデル薬草香譜〜Lの巻』旅行記(高田怜央)より

Shirakaba lab|アーティスト・ハーバリスト →HP
北海道の白樺という場所でハーブの香りも味わいも佇まいも大切に、ハーブティーやブーケガルニを制作しています。
使用しているハーブはすべて国産、農薬・化学肥料不使用です。ブレンドを通じて、ハーブたちの魅力や季節のうつろいを表現しています。

高田怜央|詩人・翻訳家 →Linktree
英国スコットランド育ち、上智大学文学部哲学科卒。バイリンガル詩作および日英双方向の翻訳を行う。詩集に『SAPERE ROMANTIKA』、写真家・遠藤祐輔との共著『KYOTO REMAINS』、作家・川野芽生とのZINE『黎明通信』など。翻訳にヴィム・ヴェンダース監督作『PERFECT DAYS』、CHANEL 2023/24 Cruise Collection『TOMORROW ELECTRIC』、田口犬男「エミリー・ディキンスンからの電話」(MONKEY 英語版 Vol.5)など。2024年11月、第二詩集『ANAMNESIAC』刊行。

Du Vert au Violet|プライヴェート・ポプリブランド →Tumblr 
室内香ではない新しいスタイルのポプリ——読書するように一対一で香りと対話する「プライヴェート・ポプリ」を提案しています。霧とリボン運営、2021年設立。文学・アート・ポプリを詰め合わせたコフレはじめ、ポプリまわりのオリジナル・アイテムを気鋭のアーティストとコラボレーションしながら発表しています。ブランド名はベル・エポックの詩人ルネ・ヴィヴィアンの同名詩集から。



作品販売期間
【10月20日(日)21時~22日(火)21時】
BASE【15%OFFクーポン】利用可能
(*諸条件あり)

作家名|Shirakaba lab × 高田怜央 × Du Vert au Violet
作品名|【ご予約品】コラボ・コフレ『ラーヘンデル薬草香譜〜Lの巻』


ハーブティ|Shirakaba lab
旅行記|高田怜央
プライヴェート・ポプリ|Du Vert au Violet

編集協力|高田怜央
企画・編集・デザイン|霧とリボン
制作年|2024年(新作)

主要10アイテム(一部複数点封入)
オリジナルスリーブ式BOX入り
BOXサイズ(外寸)|20.4cm×9.2cm×4.3cm

セット内容
旅行記|蛇腹状1篇
ハーブティ|1パック
プライヴェート・ポプリ|1壜
ハーブティ処方箋|1篇
ポプリ処方箋|1篇
ハーブティ・カード|1枚
紫水晶の欠片|1包
手染めマーブル紙(1点物)|1枚
一筆箋|10枚
植物柄シート|1枚
ポプリ壜用ベロア巾着|1枚
解説書ほか

*ハーブティとポプリの詳細はオンラインショップに記載しています

旅行記
ハーブティ
プライヴェート・ポプリ

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