ニコラス・カルペパーの窓|くるはらきみ《1》|Botanical Fantasia
人類の歴史は、植物利用の歴史でした。
食用利用は言うに及ばず、ヒトは植物で建物を作り、楽器を作り、紙を作り、船を作ったのでした。
今日でもボタニカル柄がスタンダードな模様であるのは、植物の効能と、そこに感じられる謎への畏敬の感情に由来するのかもしれません。
人が植物を描くとき、そこには、植物への感情が少なからず反映されることでしょう。
くるはらきみ「My Dearest」には、画家ヤン・ファン・エイクの代表作を思わせる構図のもと、部屋の中でハーブに囲まれる男女が描かれています。
左手の窓から差し込む光の明るいこの部屋は、夫婦と思しき男女の住まいでしょうか。植物を入れたフラスコが見えるあたり、ここは研究の場でもありそう。
奥の暖炉で燃え上がる紫色の炎も手伝って、空間を満たす花と薬草の香りが鑑賞者のところにまで漂ってくるようです。
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「アンジェリカ」は、近くで見るか遠くから見るか、上から見るか下から見るかで、発見できるものが大きく変わります。
少年カルペパーの姿から私たちの目線を下ろしてゆけば、目を伏せた彼の表情、摘まれたアンジェリカ、穏やかな2人の天使と、混合した薬草を保存するための壺のブルーが鮮烈です。
ここで大きく後ろへ下がって、ストーリーを画面下から始めてみます。鑑賞者の視点は室内にあったことがわかり、壺に入り込んだ天使たちがいかに小さかったのかに気がつきます。部屋のすぐ外にたくさんのアンジェリカが伸びていることから、もうすぐ少年がこちらへやってくるはずです。
最後に、彼のうしろの木漏れ日と、青空——天使という名前のハーブにうってつけの青空が、この景色に明るさをもたらしています。
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「カウスリップ☆天国の鍵」では、花の連なりが鍵束に見立てられるという特徴から、天使が鍵を手にしています。彼女の瞳は絵を眺める私たちに向けられています。
鑑賞者が新たな鍵を必要としていることを告げているかのようです。
清新さ、愛らしさ、鮮やかさ、力強さ、静けさ……草木花々から感じ取る質感を、ハーバリストは終わりのない世界観へ織り上げてゆきます。
それを描き出す絵筆が生んだ景観もまた、私たちを驚かせて止みません。
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作品販売期間
【10月20日(日)21時~22日(火)21時】
BASE【15%OFFクーポン】利用可能(*諸条件あり)
作家名|くるはらきみ
作品名|My Dearest
油彩・キャンバス
作品サイズ|27.3 cm×22.2cm
額込みサイズ|34.9cm×29.8cm
制作年|2024年(新作)
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作家名|くるはらきみ
作品名|アンジェリカ
油彩・キャンバス
作品サイズ|45.5cm×16.1cm
額込みサイズ|53.1cm×23.7cm
制作年|2024年(新作)
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作家名|くるはらきみ
作品名|カウスリップ☆天国の鍵
油彩・キャンバス
作品サイズ|23.1cm×22.8cm
額込みサイズ|29.1cm×28.8cm
制作年|2024年(新作)
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