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ニコラス・カルペパーの窓|tegamiya《1》|星の海と緑の囁き

 古来ひとは、夜空を見上げて星を読み、身近な草木を摘んで暮らしに役立ててきた。
 積み重ねられた数多の知識は、占星術を生み、薬草学を生む。医療も元々はそれらの知識を用いた膨大な経験から生まれたものである。
 今一度我々も植物の声に耳を傾けてみよう。
 かつて遠き国で星と薬草を用いて市井の人たちを救った、ひとりの人物に思いを馳せながら。

 グリーンマンは、まだひとが森と共に暮らしていた遥か昔から、植物、いや自然そのものの象徴とされてきた存在である。キリスト教が根付いた後も、梢を渡る風の中に、生い茂る葉の影に、グリーンマンは在った。

 様々な宗教が興るそのずっと前から、命を育み枯れては蘇る植物の緑に、ひとは畏敬の念を抱いてきたのだ。

 霧とリボン初登場となるtegamiyaが創る作品には「紡ぐ」という言葉が似合う。
 描くでも作るでもなく、紡ぐ。
 触感の異なる数種類の紙、質感の異なる数種類の絵の具、木のパネル、小さな物語、それら全てがひとつの作品として紡がれていく。

 グリーンマンの緑の囁きは、翼を持ち星の海に旅立つ。
 それはいつか暗い夜に空を見上げるひとの心に届くだろう。

 光は闇がなければ存在できない。
 暗い闇の中に灯る小さな火は、その闇が濃ければ濃いほど、明るく輝く。

 柔らかく傷つきやすい心は、冷たい暗闇の中で固い棘に守られて、やがて訪れる暖かな春を待つ。

 tegamiyaが「手仕事」という言葉を大事にするように、マッチの火は1本ずつ手で灯される。紙に滲んだやわらかな水彩の筆致もまた、手仕事の賜物だ。

 それは作品に添えられた言葉と共に、冷え切った心を癒す何よりの薬となる。

tegamiya|美術作家 →HP
手仕事が生み出す温かみを大切に、物語をそっと閉じ込めたような絵や言葉のある作品、紙雑貨を制作しています。
近年は占星術にまつわる作品制作や、個人セッション「星の談話室」を開催しています。

高柳カヨ子|精神科医・元法医学教室助手・少女批評家 note 
東京上野で生まれ育ち、東京理科大学理工学部応用生物科学科・信州大学医学部医学科卒業。法医学教室でDNA鑑定を専門とした後、精神科の臨床に進む。Bunkamuraギャラリー「新世紀少女宣言」キュレーション/『夜想ーゴス特集』インタビュー/『夜想ー少女特集』評論/『S-Fマガジンー伊藤計劃特集』アーバンギャルド論/パラボリカ・ビス「アーバンギャルド10周年記念展」キュレーション/gallery hydrangea 「『少女観音』〜12人のアーティストが描く篠たまきの幽玄世界」キュレーション。
あらゆる時代と時間を超えた少女たちに捧げる少女論「少女主義宣言」をnoteにて連載中。霧とリボン運営の会員制社交クラブ《菫色連盟》にてトークサロン「少女の聖域」を主宰、「少女性」をテーマに展覧会《少女の聖域》を定期開催している。 



作品販売期間
【10月20日(日)21時~22日(火)21時】
BASE【15%OFFクーポン】利用可能
(*諸条件あり)

作家名|tegamiya
作品名|グリーンマン Green Man
絵|アクリルガッシュ・アクリル絵の具・水彩・色鉛筆・ボール紙
背景|手づくりのくるみのインク・水彩・レイドぺーパー
ネームプレート|色鉛筆・紙
木製パネル仕立て/市販パネルをハンドペイント
*絵はガラス等で覆われていません。自立します。
*壁掛けフックはありません
作品サイズ(絵部分)|12cm×17cm
木製パネルサイズ|18.2cm×25.7cm×2cm
制作年|2023年

作家名|tegamiya
作品名|夜を灯す(詩画集『水色の月』より11月の絵)

水彩画を切り貼り・水彩・アクリルガッシュ・紙
作品サイズ|14.9cm×14.9cm
額込みサイズ|16.6cm×16.6cm×2cm
制作年|2018年

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