ニコラス・カルペパーの窓|高田怜央|メイキング・エッセイ|ラーヘンデル薬草香譜 ー紫水晶の瞳ー
こんにちは。詩人・翻訳家の高田怜央です。このたび、「霧とリボン」さまよりコラボレーション・コフレ・シリーズ『ラーヘンデル薬草香譜』を発表する運びとなりました。
かねてより季節ごとの展覧会へのエッセイ寄稿にお声がけいただいていたり、詩と短編小説『黎明通信』(川野芽生 共著)にデザイナーとしてご参加いただいたりと、さまざまな機会でご一緒しているOnline Art Galley「霧とリボン」主催者、ミストレス・ノールのお誘いで実現したコラボレーションです。
「コフレ」と聞くとクリスマス・シーズンの限定品をイメージしますが、霧とリボンさんでは年を通してオリジナルの小箱にすてきな何かをひとつひとつ丁寧に、創意工夫を凝らしてぎゅっと詰め込んだBOXを発表されています。毎回、いちファンとして新作を楽しみにしていた身としては、私が参加するコフレをシリーズで企画していただけるというのは夢のようなご提案でした。
しかも驚くべきことに、ご依頼のテクストはエッセイでも詩でも翻訳でもなく、「Shirakaba lab」さんのハーブティと調香師でもあるノールさんのブランド「Du Vert au Violet」のポプリに合わせて「史実風の物語」を書き下ろす、というものでした。
北に位置する架空の土地「ラーヘンデル(Lavendel)」にかつて存在した「ラーヘンデル薬草香院」。その場所の記録が、お茶とポプリになったハーブとともに、一巻ずつ現代に届けられる。これがコフレ製作時にご提案いただいたコンセプトでした。そこで私は「ラーヘンデルの歴史や薬草香院の営みを調査し書き留める人」、つまりラーヘンデル史家のレオ・エリザベト・タカダとなり、薬草院に暮らす「シラカバ」と「ヴィオレ」の二名の物語を追う「旅行記」を執筆するようになりました。
まず、参加ブランド「Shirakaba lab」と「Du Vert au Violet」の実際の発足経緯や製造方法をお伺いしつつ、「ラーヘンデル」の時代背景や地図の構想を始めました。「Lavendel」の名称自体はオランダ語に由来し、日本では江戸時代後期に当てられた今でいう「ラベンダー」の訳語ですが、物語のなかでは自由に歴史を編んでよい、とのことだったので別の来歴を加えました。さらに、中世哲学や錬金術の史実を踏まえるのか、より遡って古代ギリシャの自然哲学や神話を意識するのか、などのご相談を進めました。
とはいえ、ブレストした上で小難しいことは抜きにして、霧とリボンさんのシンボルでもある灰色がかった淡く柔らかな紫色と、Shirakaba labさんの冷たく眩しい純白色の質感を頼りに異国の廃墟や山脈のヴィジョンを展開していきました。すると、最後に姿を現したのが「紫水晶の瞳」というフレーズです。
アメジストのような眼をした流浪の民である彼らは、一体何者なのでしょうか。『ラーヘンデル薬草系譜』は、故郷を持たない不可思議な者たちの記憶と継承の物語になりそうです。
というお話をお伝えしたところ、ミストレス・ノールの粋な計らいによって、コラボレーション・コフレ 『ラーヘンデル薬草香譜〜Lの巻』には「紫水晶の欠片」が封入されることになりました。どうぞお楽しみに。
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作品販売期間
【10月20日(日)21時~22日(火)21時】
BASE【15%OFFクーポン】利用可能(*諸条件あり)
作家名|Shirakaba lab × 高田怜央 × Du Vert au Violet
作品名|【ご予約品】コラボ・コフレ『ラーヘンデル薬草香譜〜Lの巻』
ハーブティ|Shirakaba lab
旅行記|高田怜央
プライヴェート・ポプリ|Du Vert au Violet
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編集協力|高田怜央
企画・編集・デザイン|霧とリボン
制作年|2024年(新作)
主要10アイテム(一部複数点封入)
オリジナルスリーブ式BOX入り
BOXサイズ(外寸)|20.4cm×9.2cm×4.3cm
セット内容
旅行記|蛇腹状1篇
ハーブティ|1パック
プライヴェート・ポプリ|1壜
ハーブティ処方箋|1篇
ポプリ処方箋|1篇
ハーブティ・カード|1枚
紫水晶の欠片|1包
手染めマーブル紙(1点物)|1枚
一筆箋|10枚
植物柄シート|1枚
ポプリ壜用ベロア巾着|1枚
解説書ほか
*ハーブティとポプリの詳細はオンラインショップに記載しています
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