日本の年収の壁についての思考実験
1.年収の壁
2024年11月、近頃よくニュースでやっている年収の壁の話は、以外と身近な話題だったりする。
自治体によっては税収が減ると言っているところがあったりして、そうなのかなと思ったので少し考えてみた。
2.日本のパートタイマーの人口
これは、1431万人(2021年厚生労働省調べ)らしい。
調査期間の月末1週間の労働時間が週35時間未満のものとのことだが、実際は週20時間程度が106万の壁なのだが、1431万人という数字もサンプリングみたいなので、あまり細かく考えず、全員時間調整していると仮定した。
3.税収減の考察
そもそも106万円で働くのを控えて税金をあまり払わないようにしているため、178万円になったとしても税収は変わらない。
働くのを控えていなかったのであれば、税収は減るだろうが、控えているので減るわけがないのである。
4.壁の変更
壁は106万円から178万円になると仮定した。(どうやって決めたのかな?)
そうすると、差額分の給与は一人当たり178万-106万 = 72万円
1431万人×72万円 = 10兆3032億円が支払われることになると仮定した。
5.支出について
このうち、収入が全部支出に回っているとすると、消費税だけでも増えるかと思って試算してみた。
10兆3032億円*消費税(10%) = 1兆303億2000万円の増加。
地方消費税(2.2%)だけでも、2266億7040万円の増加。
各自治体(約1700市町村)で割ったら約1億3334万。
ちょっといい感じ。
6.労働時間の増加
こっちはもっとすごい。
労働時間が一人当たり72万円÷時給1000円 = 720時間増える。
720時間×1431万人 = 総労働時間103億320万時間増加。
これは、結構大きな数字になった。
もし、この労働時間が有効に使われると日本全体の労働力が増加して、生産量が増え、日本全体の売上が増える感じ。
103億320万時間×1時間あたりの労働生産性5099円(※) = 52兆5360億1680万円
※日本生産性本部調べの2023年の1時間あたりの生産性
ほんまかいな!!
利益率の平均3.2%(経済産業省2021年)を掛けると、
52兆5360億1680万円×3.2% = 約1兆6811億5254万円
法人税のうち、地方自治体に還元されるのが利益の21.96%と仮定すると、
約1兆6811億5254万円×21.96% = 約3691億8110万円
各自治体(約1700市町村)で割ったら約2億1717万円となる。
7.考察結果
これは、あくまでも思考実験による考察。結果の正しさは担保しません。
要するに、壁を106万円から178万円にしたら、
今まで働くのを控えていた人たちが俄然働き始めて、
日本全体で約103億時間も労働時間が増えて、
その結果、約52兆円も日本全体が稼ぐ可能性が出てきたということかなと思う。
各自治体には、約1億3334万+約2億1717万円 = 約3億5151万円の税収が増えるかもしれない。
なので、単純に壁を106万円から178万円に変えたら税収が減るというのは
もしかしたら短絡的なのではないかと思ってしまう次第でした。
逆に税収が増えるのではないかとさえ思えてきた。
少しすっきりした。
了