ルービック(詩)
空の色は心に
海の深さはあなたに
街灯はあちこちにある
見るか見ないか
経験の辞書を引く
寝転んで
考えるのを辞めて
考えるのを辞めるのも辞めて
言葉で線を引き
言葉で膜を突き抜ける
有限を分け合うなら
時間は水
木を育てる
ねばついたアスファルトに
靴を練り込んで
街と話に行く
金が無い時は
公園の木と話す
手札はあなたの数だけある
ひとつづつ膜をはがす
膜が無くなったら
頭を宇宙に戻す
そして
現実
脳に染み付いた異物は
もはやあなた自身を構成する
選択してゆく
選ばされるのではなく
選びに行く
そのための
道
『あっ。選挙行ってねえ。
期待してないからねえ‥
誰にも。
一応調べて行くかな‥。
いや、めんどくせえや』
マイノリティがメジャーになった
メジャーがマイノリティになった
いつになったらバランスは取れるんだ?
永遠の変遷
終わりがあるのは
幸せなのか
やはり苦しみか
現実を見ながら
この詩を書くとき
左目は空を向いている
苦味が癖になる
甘さが癖になる
じゃあこの
用意された空白は
どんな味なんだ?
『いい笑顔だ』
了
梶本