植物遷移と原生林

高校生物で遷移という言葉を習いましたが、その言葉を使って原始林をうまく説明できませんでした。説明できることを目標に学習した記録をここに残します。間違えはご了承ください。

植物遷移という遷移

遷移(Ecological succession)は生物群集の変化を指します。生物群集を植物に限定する場合は植物遷移(Plant succession)と呼びます。Forest succession(森林遷移?)という表現もありましたが、森林の前に極相となる場合もあるのでここでは植物遷移と呼びたいと思います。

Plant successionには植生遷移という和訳もあるようですが、ここでは林&沼田の論文に従い植物遷移と書きます。

植生遷移の極相と原生林

極相には単極相説(Monoclimax theory)と多極相説(Polyclimax theory)があります。単極相説はある気候に対して極相は一種類と考える立場で、極相は気候極相(Climatic climax)のみです。多極相説は気候以外の地理的条件や人による撹乱にも影響されて複数の極相が存在すると考える立場で、極相は亜極相(Subclimax)や妨害極相(Disclimax)、火入れによる極相(Fire climax)、刈り取りによる極相(Mowing climax)などがあります。

原生林という言葉を使う場合は陰樹主体で人の撹乱を嫌うので単極相説に則るのではないかと思います。

なお、極相でも倒木や撹乱により部分的に遷移が戻ることが知られています。これらはギャップダイナミクスとして体系化されているそうです。

日本の植物遷移極相と極相林

日本では植物遷移の極相(極相林)は多くが陰樹林となります。なので人による撹乱を受けずに長期間経過した植生である原生林は陰樹林です。ただし極相林であれば原生林とは限りません。

植物遷移の極相は植物種のみに着目しているため、極相になっても個々の木本は成長して土壌や動物に影響を与えます。それにより微生物や動物の遷移が進み、初期の極相林とは異なる生物群集が形成されます。つまり原生林は古い極相林だと考えられます。

蛇足 極相と鳥取砂丘

蛇足ですが、地理的条件により森林まで遷移しない好例は鳥取砂丘です。

結び

遷移や極相という二文字にも様々な歴史や学説が存在していることが分かりました。また、今回は原生林の定義は確認していません。時間があれば極相の分類や原生林の定義、Pioneer species、ギャップダイナミクスやジャンゼン・コンネル仮説、菌根菌なども調べてみたいです。

参考

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