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日本語ラップは革命の夢を見るか ~小林勝行『KATSUYUKISAN』をめぐって~ (text by 韻踏み夫)
「満月の夜」、一人が家を忍び出る。深夜の「ファミマ」へ向かって。まるで、中学生が親にバレないように夜遊びに出かけるときのような仕方で。しかしこれから動き出そうとする陰謀が、夜遊びよりも歴史的で政治的で重大なことであるにしても、それがなんだというのだろうか。いや、ここでは、夜遊びにしろ、陰謀にしろ、あるいはその妄想であるにしろ、それらは同等の価値を持つ。結果引き起こされるものの規模が、たまたま違っているだけだ。 土着性。小林勝行がデビュー作から描いてきた、生々しいリアル。「覚
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ビートメイカーの誕生 ―Grandmaster Flash・DJ Premier・PUNPEE― (text by 吉田雅史)
さて、肩の力を抜いて一発目の記事に向かっていきたい。SCRAPTで書いていきたいことはたくさんあるのだが、そのひとつは2022年10月に荘子it氏と韻踏み夫氏を招いて行った『ゼロから聴きたい日本のヒップホップ』@美学校の中で触れられたトピックを発展/深掘りすることだ(注1)。 その補足動画の中で「ビートメイカーの元祖とは?」という話をした。結論から言えば、グランドマスター・フラッシュが元祖というのが、私の考えだ。一般的に彼は、クール・ハークやアフリカ・バンバータと共に、ヒ
¥300ヒップホップにおける上部構造/下部構造論――「ゼロから聴きたい日本のヒップホップ」をもとに (text by 韻踏み夫)
SCRAPTにこれからどのような記事を上げていくか、それをはじめの挨拶の代わりに示すために、私と吉田雅史で一本ずつ書いてみようということになっている。そこで私は、先日2022年10月26日に、神保町の美学校にておこなった講座、吉田雅史feat.韻踏み夫、荘子it「ゼロから聴きたい日本のヒップホップ」で出た、興味深い論点を拾いつつ、考えてみたい。 ことは、トラップのビートについての話題においてだった。荘子it氏がさすがの聡明さをもってまず整理したことは、次のような、知っている
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