「ととのえる」大切さ
なにか始めるとき。いや何も始まっていないときだからこそ、「ととのえて」おくことの大切さ。改めて実感します。「いざ」や「いつでも」やることのできる構えと用意。それが、人生を良き方向に導いてくれるものと思います。
1、えんぴつを削る
先日、銀行を対象としたセミナーの講師をしてきました。業界だけに「お固い」印象をお持ちだとおもいますが、その「思ったとおり」の固さでした(笑)
世の中の脱スーツとは逆の、オーセンティックな「スーツにネクタイ、革靴」のフォーマルスタイルはもちろん。施設も立派で落ち着いた雰囲気で、あの半沢直樹の役員室ともいえる内装は、そのまま。やっぱりなと思うと同時に、その圧倒される雰囲気と重厚感は、やはり気が引きしまるものです。
こうした「しつらえ」がその場の空気を支配する、ということはどの場面でもあろうかと思います。お寺や神社に感じる、神妙な面持ちもそうですし、歴史的建造物の厳かな雰囲気も、それが一長一短ではなく、長い歴史や多くの人の時間や労力をかけて作り上げられた場所であるからこそ、魅力的な場所であり、そして、そこに来る人を、一定の空気感で包み込むものと思います。
そうしてみれば「場作り」というのは大切で、ゴミ1つ落ちていない清掃状況や、会議室の椅子の整然と揃えられた並べ方、控室に削って揃えてある鉛筆など、一つ一つに「人の手が介在した」痕跡があり、こうしたすべてが、圧倒する場所を作り出しているのだと、改めて思ったのです。
2、「おもてなし」はできているか
人と合うのに、「おもてなし」が大切とよく言われます。果たしてどこまでととのえられているでしょうか。相手をおもてなしする「場所」の選定や底に「雰囲気」をどのようにしつらえるかもそうですし、清掃や整理整頓は当たり前。そして相手に合わせて服装や持ち物もTPOにあわせたものを選定する。
謝罪するときに、例えばジャージでいくのは、フランクすぎますし、一方で、田んぼに訪れるのにスーツでいけば、高飛車に見られることもある。それぞれ「どの場面に合わせた自分でいるか」ということを考えることはとても大切なことです。
こうした、全てにおいての配慮を通して「相手に対するおもてなし」は完結するのであって、単なる「気持ち」や「動作」だけで済むものではありません。環境からアプローチ、そして言葉遣いに至るまで、「すべてにおける整え方」が問われていると言えるでしょう。
3、こころはととのえているか
そして、大切なことは、自分自身の「こころ」が穏やかで、ととのえられているか、です。乱れたこころ、不安なこころ、落ち着きのないこころでは、相手の印象が悪いばかりか、行動や言動も誤りを起こしがちです。
何よりも「心の安定」がすべての物事における基本。睡眠をきちんととり、身なりを整え、そして、運動などをとおして、心身ともに代謝のバランスが取れている。
翌日が大切な仕事がある前日に、酒を飲みすぎて二日酔いなんてもってのほかですし、そんな気分で相手にあったり、仕事に取り組むのは、失礼にもあたるでしょう。
そんなわけで、毎日の中で「ととのえる」ということがいかに、全ての物事をうまく進めていくのに大切か、ということは、場面場面の失敗や、準備が静粛と進められている人の所作を通して、学ぶもの。
良き学び相手から、真似て、そして実践する。そんな風に「しつらえ」と「ととのえ」ができる大人になっていきたいものです。