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筆力を上げたいという自問自答

短編が書けない

 最近、自分はそんなに小説が上手くないぞという現実に気づき始めている。昨年までは勢いで書きまくっていたものの、長編五作も書くと、自分でも「あぁまたこのパターンね」と思うくらい、書くものの幅が狭いことを自覚させられる。だから、書きたいテーマはいくつかあっても、また同じトーンで書いてしまうのではないかと思うと、なかなか踏み出せない。
 まずは短編で幅を広げなければ、と思うのだけれど、これまた、短編が下手だな! ということにも気づき始めた。下手というか、苦手というか。

 私は高校まで書道部だったのだが、書道でも、半紙で四ないし六文字書くより、二八(二尺×八尺)の方が得意なタイプだった。タイプ、というか、二八や条幅(34.5cm×136cm)しか書けなかった。
 なぜかというと、高校生レベルの半紙は、一文字一文字が完璧に整っているのは当然で、かつあの小さい紙面上で、文字もポンポンポンと均等に並んでる風に見せて、絶妙な構成力が必要だからだ。それは、線の抜き加減だっりかすれ方だったり、微妙な文字の大きさのバランスだったり。そして、紙が小さい分粗が一瞬でバレるし非常に目につく。
 一方、二八や条幅は、もっと広い範囲での構成力が問われる。例えばこちら。

あたくしの推し書家・黄道周

 パッと見、一文字くらい間違ってても分からなそう(なめんな)(謝れ)(ちゃんとばれます)。
 これは七言律詩を書いたものなので、56文字あるわけだが、そのすべてを完璧に書くのはまぁ無理。でもその分、全体の起伏や、ときに行の微妙な歪みで魅せることができる。
 短編と長編へのイメージの違い、こんな感じ。伝わりますかね……。
 要は、短編は蛇行が許されないし、ストーリーラインがはっきりしていないとうまくまとまらない、そういうイメージがある。

 特に難しい、というか一度もチャレンジしたことがないのが、「2万字程度の短編」。公募で短編となると、2万字目安のものが多いのではないだろうか。私は今まで、短編はMAXで1万字程度しか書いたことがない。それ以上が、書けないのだ。
 さしあたっての目標は、2万字の短編を書けるようになること。この目標に向かって、一旦壁打ちをしたい。


プロットをちゃんと作り込みなさいよ

 私が2万字の短編を書けないのは、おそらく、ペース配分が上手くできない、という理由からなのだと思う。そしてペース配分ができないのは、プロットを作っていないからではないか? という疑惑がある。
 いや、作れよ。プロットを。
 短編でしょ? 短いんでしょ? じゃあいけるんじゃん? という驕りがある。長編の時は、本文を書きながらではあるが結構しっかりプロットを作っている。しかし冒頭の、長編がデカい書作品・短編が半紙という理屈に当てはめるなら、短編の方が緻密に計算して作られるべきなんじゃないの? という話だ。


でもなんか、フワ~っとしたやつ好きなんだよなぁ

 そう。自分が読んで好きな短編は、あまり起承転結がカチッとしていない、ような気がする。川上弘美の『神様』とか、坂口安吾の『風と光と二十の私と』とかが好き。ケムにまかれたような気持ちになりたい。くまって何のメタファーなの……とか、き、急に安吾が分身した?! とか、理屈じゃないものを見せられて考え込んだり痺れたりしたい。

 ……プロット書かない奴が目指していい境地じゃない。まだそんな段階じゃないんだよ。まずは分かりやすくまとまった話書いてみよっか。


背景をどこまで作り込むべきなのか

 2万字は私にとって中距離走ではあるものの、長編ではないので、「針を」みたいにキャラクターの属性・背景をモリモリにしたらさすがにまとめられない、ということはよくわかる。
 一方でキャラクターが記号的すぎるのもどうなのか、と思う。小説の面白いところって、ストーリーそのものより、周辺情報……キャラクターの深みとか、情景描写の美しさとか、本筋から少しずれたエピソードとかだと思っている。
 短編だと、本筋からずれてる場合ではないので、一応一直線になるよう出来事を配置するにしても、キャラクターの言動からある程度の性格や偏りが見える方がいいんだろう。現状、そのキャラクター性をいちいち出しすぎるからうまくまとまらんのでは? あるいは、自分の中で設定作りすぎて、それを小出しにするから、全体的に説明不足感が出てしまうんじゃないだろうか。
 とはいえ、

 朝、いつものように煩く鳴り続けるアラームを止めて、無理やり起き上がった。今日は高校の入学式だっていうのに、俺はこんな日でも「まだ寝ていてぇなぁ」なんて思うのか、と苦笑する。
 校門近くで、
「おう、タケシ! おっはよ~!!」
 と、携帯のアラームより遥かに煩い奴に声をかけられた。コイツはケン、幼稚園からの幼馴染だ。

今適当に書いた

 みたいな、タケシお前今誰に向かって喋ってたの? みたいな書き方は……おしゃれじゃないかも……。
 一旦、登場人物を絞って、属性もストーリー上必要な要素だけかっちり決めて、さらに、プロットと共にそれらの属性の情報をどこで提示するかも決めていった方がいいんじゃない?
 多分上手い人はそんなことしなくてもさらっと書けてしまうんだろうが、私は出来ないんだから、一度しっかり設計図決めてみようか。


 ひとまず、今回の結論は
・プロットをちゃんと作る
・キャラクター設定を簡潔に
・情報提示の量とタイミングをあらかじめ決めてしまう
としたい。
 これを意識して、近いうちに2万字の短編にチャレンジしてみようと思う。書いたら「コイツがあの時の短編です」と書き添えます一応。
 
 わーこれ日記だなぁ。


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早時期 仮名子*文学フリマ京都9う-21
もっといい小説を書きます!