「30過ぎて可愛くなっても仕方無いんだよ!」と叫んでいた17歳の私へ
どうも、20年後の私です。
あなたが想像どころか、存在するとすら思っていなかった私は、今、ここにいます。
あなたの母は度々、
「30過ぎたら瞼がたるんで、自然と二重瞼になるわよ〜」
と言うでしょう。
そしてあなたは、
「30過ぎて可愛くなっても仕方ないんだよ!」
と返す。
ここまででワンセットですね。
気付いていますか?
あなたの目の前にいる人は、母である以前に、40代の女性であること。
気付いていませんね。己の無礼さを、早く知りなさい。
母は多分、一生その言葉を忘れません。
少しだけ安心して。
20年間、「おもしろ」として擦られ続けます。先週も言われました。
「私の言ったとおりだったでしょ」
と。
そう、自然と二重瞼になりました。
加齢、そして、長女・次女を出産し3年ほどは毎日泣き叫び、夜に寝静まった後Xに(TwitterというSNSが台頭したのち、なぜか改名します)、
「育児しんどすぎワロタ」
と、全然わろてないしょぼしょぼの目で投稿する。
そんな日々を経て、自然と。
ああ、
「可愛いとは縁遠そうな生活してるなぁ」
って、思いました?
どっこい、今の私は、30過ぎた私は、可愛いよ。
あなたは、ちょっと気になってる男子がいるでしょう?
中学から知ってるけど、全然話すことのない人。
朗報です、今の私は、その男子と共に35年ローンを背負っています。
相変わらず片付けが下手なので、家の外観はいいが中身はしっちゃかめっちゃかです。
そしてその男子は、私が髪を切って帰ると、おお可愛いやん、と言います。
毎日顔を合わせる人に、可愛いと言われる私は、可愛いのです。
あなたはいつか、その瞼を覆う分厚い前髪を、眉上3センチにまで切る。
隠していた眉と額が、案外いい形であることに気付いたから。
よく似合っている、と思います。
もう一つのコンプレックス、大きな鼻。その下にある唇が、血色が良く、鮮やかな赤が似合うことにも気付くでしょう。
そうやって一つずつ、自分の「案外いいところ」に気付いていくでしょう。
友人とか、付き合った人とか、コスメカウンターのお姉さん、街ゆく素敵な人生の先輩たち、同僚や上司の姿。いろんな人たちが、人それぞれが持つ「可愛い」に気付かせてくれるでしょう。
自分に似合うものを、自分のいいところを知っている自分を、まるごと可愛く愛おしく思えるようになります。
あなたの30年先を行く母は、今も変わらず、私の30年先を歩いています。
肉が乗り少し丸くなったその背中は、キュートとしか言いようがない。
30過ぎるどころか、60過ぎても、人は可愛くなるんです。
30過ぎて、可愛くなったら?
それはもう、楽しくて仕方ないですよ。
そんな、あなたの想像の及ばない遥か遠い未来に、今ここに、私はいます。