人事トラブル相談所㊺「社内にいる反社・反グレへの対応ってどうする?」 ~いつの時代も裏社会はあるが、静かにドーンと構えておきましょうか?!~
「静かなるドン」
「ゴットファザー」
「仁義なき戦い」
「極道の妻たち」
「アウトレイジ」
「すばらしき世界」
というタイトルから何を想像されるでしょうか?
そう・・・
かなり有名どころの作品ですので・・・
すぐにおわかりいただけたと思いますが・・・
いわゆる「裏社会」をテーマに描いた過去の名作です。
まだまだ日本にもありますよねーーー。
山□組、稲ⅲ会、住土口会 などなど。。。
そして何より・・・
全ての作品にゲスト出演しているプラダを着た悪魔の人事です。
会社の中でも「静かなるドン」と呼ばれはじめています。
最近、歩いていると「何かありました?」って言われるの、なぜ?w
世の中にも物事にも人間にも「表」があれば・・・
「裏」というものが必ずありますよね。
あくまでもフィクションとして描かれている物語であるため・・
一般社会で受け入れられ、1つのエンターテイメントとして成立しているものですが、実際に「アウトレイジ」で出てくるメンバーが会社の同じ部署にいたらどうでしょうか?
「すばらしき世界」の主人公のような父親がいたら・・・
会社で後ろ指を刺されないでしょうか?
日常、私たちが働いている場所はあくまでも「表」の社会ですから
「裏」の人間が介在してくるのはよろしくないという解釈が一般的です。
いつの時代にも「裏社会」は存在してきたと思いますが・・・
今回はそのような「裏社会」を代表する「反社会的勢力」について
労務管理の視点で書いていきたいと思います。
最近、QOL関連の記事ばかり上げていたのでたまには真面目に。
一応、人事系の記事も書けますよ、ワタス。。。。
出だしは毒々しいですが、あくまでも人事にかかわるトピックとしてお読みいただければ幸いです。。
反社会的勢力と昨今の状況
今ではすっかりと世間一般にもその名称が浸透してきた・・・
「反社会的勢力」ですが・・・
暴力団(準暴力団)、暴力団員、暴力団関係企業、暴力団準構成員、総会屋、社会運動等標榜ゴロ、特殊知能暴力団等を相称して言われています。
「反社会的勢力」とまでは行かないカテゴリーの者を「半グレ」などと呼びますが、これらも準暴力団のような位置づけにされているようです。
反社会的勢力というものについて調べてみると・・・
「警察庁組織犯罪対策部」から膨大な組織犯罪や暴力団情勢などが記載されている資料がありました。
反社会的勢力の代表と称されるいわゆる暴力構成員、準構成員の人数推移なども下記のとおり確認することができます。
この20~30年で約3分の1にまで減少しているとはいえ・・・
まだまだ一定数の人数がいるようですので、身近なところにも潜んでいるケースや数年前まで反社会的勢力の一員であったなどのケースも少なからずあると思います。
(警察庁組織犯罪対策部「令和2年における 組織犯罪の情勢」 令和3年4月版より一部抜粋)
企業がとるべき反社会的勢力への対応
近年では、暴力団をはじめとする反社会的勢力排除の動きは、社会全体の趨勢となっており、どの企業においても暴力団とかかわりをもたない、交際しないなどのスタンスをとっています。
ほとんどの自治体においても、暴力団排除条例が施行されており、このような動きに対応していくことは企業コンプライアンスの1つとなっているといえます。
役員選任の際や従業員を雇用する際には、会社としてしかるべきデータベースで対象者の検索をできるようにしておくなどの対応をしておく必要があるでしょう。
また、人事など雇用管理をする現場においても適切な対応が求められることとなります。
従業員を雇用する際に・・・
「あなたは暴力団員ですか?過去にそういう事実はありましたか?」
と聞きたいことはやまやまですが・・・
さすがに人事の立場を考えると面と向かって質問するのはためらうことになると思います。
そこで大事なことは入社時の対応と違反した場合の処分対応です。
入社時の対応については、必ず入社前に暴力団員、その他反社会的勢力に該当しないことを確認する誓約書等の回収になります。
また、仮に入社後そのような事実が発覚した場合でも解雇を含めた懲戒処分の対象として就業規則などに明示しておくことで反社会的勢力排除の実効性を担保することができます。
従業員が反社会的勢力に該当していたら・・・
上述したように企業としては適切な対応をとるべきではありますが、一方で既に入社している者が反社会的勢力に該当する可能性がある場合や密接な関係を持っている場合などはどのようにすべきかを見ていきましょう。
既にデータベースや情報源から、反社会的勢力などに該当するという客観的な事実確認ができる場合は、その根拠をもとに本人への確認を実施し、就業規則などに則り適切な処分対応をすることになります。
一方で反社会的勢力に該当する噂などが出ている段階の場合は、安易に動くことは避けて情報の信ぴょう性を確認し調査することになると考えます。
仮に懲戒処分(解雇)などを拙速に行った場合は、解雇の有効性が問題になるだけでなく、当該従業員から名誉棄損やプライバシー侵害などで企業側に賠償を請求されることもありえます。
企業として調査をする際には、まずはデータベース検索や情報源への確認を徹底して行うことが重要となります。
警察や全国暴力追放運動推進センター等の機関に情報を求めることも可能ではありますが、一定の情報精度がない場合は、照会をしたとしても適切な回答を得られない可能性があります。
また外部の調査機関などに依頼する場合も情報源が明らかでない場合は、争いになった際証拠として利用できないなどの可能性も考えられるため慎重に行うべきでしょう。
なお、各種調査や本人への確認などを行う担当については、役員および人事部長など然るべき役職者のみにとどめ、必要最低限の情報共有にとどめて行うことが肝要です。
結果的に従業員が反社会的勢力に該当しないなどの場合には、よからぬ混乱や本人へのネガティブな影響が予想されるため、細心の注意を払って対応をすべきでしょう。
従業員の親族が反社会的勢力に該当していたら?
従業員本人が反社会的勢力に該当するか否かの議論もさることながら、親族(配偶者、親、兄弟、子など)が反社会的勢力であるということも可能性としては一定程度存在します。
社内においては、従業員本人が反社会的勢力に該当しなければ特段問題ないように思えますが、他の従業員からすれば、反社会的勢力とつながりがあるとされる当人が同じ場所で勤務していることは不安につながりますし、会社としても取引先その他外部関係者への影響が少なからずあると思います。
ここで論点になるのが、従業員自身は反社会的勢力と無関係だが、親族に反社会的勢力に該当する者がいる、という事実をもって解雇や諭旨退職などが可能かという点です。
東京都暴力団排除条例Q&Aにおいては「親族・血縁関係者に暴力団員がいる」というだけでは「暴力団関係者に当たるものではない」とされているため、この事実だけをもって既存の従業員へ何らかの処分を行うことは現実的にはかなり厳しいでしょう。
ただし、会社内で親族に反社会的勢力がいることを示唆するような言動(「俺のバックには●●がついているぞ」など)があったりする場合には、その言動や従業員としての適格性を欠くと判断したうえで何らかの処分を科すことは可能と考えられます。
現実的な運用としては、入社時の誓約書等に「(●親等以内の)親族に反社会的勢力に属するものはいない」というような文言をいれておくことが想定されます。
なお、誓約させたとしても親族が反社会的勢力であることを理由とする解雇がただちに有効と判断されるわけではないですが、少なくとも誓約があることで事後的な紛争をある程度防止できると思いますし、虚偽申告を理由に解雇できる可能性も広がるので、企業側の防衛策としては一定程度有効になりえるでしょう。
さいごに・・・・
今回は反社会的勢力という少しアンダーグラウンドな部分に人事目線で触れてきましたが、企業としては、やはり入社前の反社チェックおよび誓約書等の回収を徹底することが肝要となります。中小企業やベンチャー企業では、人事が入社前に反社チェックをしていない、ということも案外見られますので、これを機にオペレーションの見直しなどに繋がれば幸いです。
かなり前の出来事で、ある大物芸能人が反社会的勢力との付き合いについて「自分の中ではセーフと思っていたが、芸能界のルールとしてはアウトだった」など発していましたが、一般的な社会生活においても何ら変わりはないでしょう。
世の中が反社会的勢力に対して、これだけ明確にNGと表明している中ですので、今後もこうした風潮が変わることはないですし、より一層反社会的勢力排除の動きが強まると思います。
どこかの芸人のようにちょっとした心の隙をつかれ・・・
気が付いたら反社会的勢力の方と付き合い闇営業をしていました、などとならないよう企業側も労働者側も日ごろから相当の注意を払っていく必要があるのではないでしょうか。
いつでも心の隙間は狙われていますからねぇ・・・・・
昔、コンサル時代、こんな顔した女上司にパワハラじみたことされました。
もう自分の足元にも及ばないレベル差がついてしまったので・・・
もはや、眼中になく、何も思いませんがね( `ー´)
にしても・・・
反社よりタチ悪い女だったな・・・あいつ。。。。