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共和国って、こんなところ、だった

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皆さん、こんにちは。
今回、S.C.P. Japanのノートに初めて記事を書くことになりました。
S.C.P. Japanの活動を、少し遠いところから、でも、結構大きな思いで応援している者のひとりで す。

わたしは今海外に住んでいます。日常生活で日本語を話す機会は少ないですが、頭で考えたり、独り言を言ったり、夢を見る時は、ほとんど日本語です。それぐらい、日本語に浸っているので、正直海外に住んでいても、日本から遠く離れた、という感じはあまりしません。

それに加えて、ネットで日本語の世界にすっと行けてしまうので、「海の向こうで何が起っているんだろう」という感覚が殆どなくなってしまいました。特にリアルタイムで映る日本の景色や、そこで暮らす人々は、わたしが今暮らす国と、さほど、というか、ほとんど、変わらない、地続きの世界だ、ただ話す言葉だけが決定的に違う、という、まるで地を隔てる海なんて最初からなかったかのような不思議な気持ちになります。もっと言えば、世界という大きな国家に内包されている気分にすらなります。

そんな中、今、地球規模で蔓延しているコロナウィルスは、国や宗教といった区分を越えて、〝地球人〟という、この上なく最終形の属性を意識するきっかけにもなりました。

地球人というと、一種族と捉えることもできますが、それは一方で超理想的なイデオロギーに過ぎず、 国の制度や国民の精神構造が違い、言葉も違うのが現実です。百歩譲って、それでも、まあ、みな、 ただの人間だよね、ということも出来るのも確かで、やっぱり、ただの人間。国が違えど、ただの人間。それ以上に単純なものはないよなあとも思います。
しかし、ただの人間は人間属の中での最小単位でもあり、唯一無二の存在です、そしてそれは紛れもない、個人です。地球にたったひとつ(ひとり?)の個人と考えたら、ただの人間ほど、微小で尊いものはないようにも思えてきます。

バラエティーに富んだ人間という微生物が群がっているのが地球なのだとしたら、それらが反発しあったり、混合しあったり、付かず離れずしたりして、さまよっているのが、本来の自然な姿のようにも見えてきます。でも、時に、浮遊しているように見えていても、無秩序な世界では、必ず不和がおきます。そしてそれはだいたい、勢力同士の戦いになることがほとんどです。勢力は、強くなるために、規制を敷いて単純明快な理論で他者を誘導したり、不安を煽ってコミュニティーの中に留まるように促したり、敵を攻撃して自尊心を潤したりします。

個人がそうゆうことに巻き込まれずに、自由に浮遊するためにはどうしたらよいのだろう?

そのヒントになるのが、「共和国」という概念です。その概念は、共生するためのルールにも通じています。そのルールが、国の憲法だとしたら、憲法は、個人を守るための標識で、近代国家はそのことを明確にしたモデルということになるのでしょうか。

自由の裏には、徹底したルールがあります。ルールもないモラルもない他人に対する敬意を失った地球人はこの地球では厄介者になってしまうらしいです。なぜなら地球人は、個人単位で浮遊していて、分裂もしなければ、他を取り込むこともできないから。個人は自分という個人を守りながら、相手も
守ることでしか、共生できないということでしょうか。

共和国はその共生を具現化するために、創られた国家といったら、大きすぎるかもしれませんが、そうゆう理念を基礎として、個人の自由を守っているようです。そして、公共の場が、徹底して、何の概念にも侵されない場であるということを、強くはっきりと、明確に、宣言しています。
公共は、誰のものでもありません。当たり前のことですが、それを明確にしておかないと、ある日乗っ取られてしまうのが、共和国の危うさでもあるようです。

長い間、宗教という大勢力に支配されてきた国家が辿り着いたのが「共和国」であるとしたら、ここまでの道のりは長かったなぁと、感慨深くもなります。そして自ずと未来に思いを馳せてしまいます。共和国は、これからどうやって進化していくのだろう。

そこで、今回はフランス共和国の例です。今回ピックアップしたVTRは国営の映像メディアが製作している啓発教材です。共和国の教育機関では、こような共和国精神を徹底して教えることになっていて、子供でもわかりやすい内容になっています。映像は、共和国理念の柱である 政教分離についての人形劇です。

(字幕作成:Mia Kinoue)

宗教とひとくちにいっても、信仰スタイルが様々なところも、またおもしろく、現代的だなあと思います。結局、最終単位は、宗教でも国家でもなく、ただの「わたし」と「あなた」なのだなということだったとしたら、こんな単純なこともないよなあ。


Mia Kinoue:
フランス在住。サン=サヴァンでゲストハウスを営んでいます。フランスに来られた際には是非お立ち寄りください。

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