べてるの家の見学から「問題への介入」から「ニーズ適応型の介入」の本当の意味に触れた経験
こんにちは。
目の前の日常を大切にすることに意識を向けて、毎日、頑張っています!
さて、本記事では2023年10月23、24日にべてるの家に見学に行ってきたときの学びについて、まとめました。見学に行ってから少し日が経ってしまったのですが、毎日コツコツと書きましたので、読んでいただけると嬉しいです。
べてるの家を聞いたことない人もいると思うので、まずはべてるの家について簡単に説明します。
べてるの家とは1983年に北海道の浦河町というところで精神障がいを抱えた人たちが「町のために何かできることはないか?」と考えて設立された当事者の地域活動拠点です。
ここでは昆布やわかめ、いちごジャムなどが販売されていたりしています。
べてるの家では、毎日、当事者さんが主体となってSSTや当事者研究といったミーティングが行われています。私も以前にDVDや書籍でべてるのミーティングを見たことがありましたが、実際にその場にいると、そのダイナミックスがより鮮明に伝わり、「病気と向き合う」「自分と向き合う」こうしたプロセスが具体的にどういうものなのかを感じました。
私は当事者研究の方を見学させていただいたのですが、その中で私なりに得た学びがめちゃくちゃ大きかったので、それをシェアさえていただけたらと思います。
その前に私がオススメするべてるの家関連の書籍を紹介しておきます。
まずは、こちらの「技法以前」。
私が看護師になって精神科病棟で3年目か、4年目位のときに読みました。
「どのようにやろう」ではなく、「何をしてこなかった」か、、、。
この帯を見て、すぐに買いましたね。もちろん、ここに書かれている内容がすぐに医療機関の中で実践できるたかどうかというと、そうではありません。
しかし、当事者さんと共に悩み、その苦労を一緒に「どうしようか、、、」と考える姿勢。そういった心構えをこの本からは学びました!
在宅支援や地域活動をされている支援者さんにはオススメです。
次にこちら。「認知行動療法、べてる式。」です。
この本は、DVDがついていて、その内容を全て文字に起こされた書籍付きです。こちらは、当事者研究やSSTの構造を公認心理師である伊藤絵美先生が解説しているものです。
一番最初の解説に「認知が入り口」「行動が出口」という図が出てくるのですが、非常にわかりやすく解説してくれている本です。当事者研究やSSTを構造的に理解したい支援者さんにはオススメです!
ということで、前置きが長くなりました。
ここから私がべてるの家を見学して何を学んだのかについて、お話します。
そこに集まっているすべての人が体調、気分をシェア
べてるの家では、「三度の飯よりミーティング」という有名な言葉があるのですが、その言葉通り、非常にミーティングを大切にしているということがわかりました。それは、当事者さんだけではなく、そこに働く人や携わる人すべてに浸透しているという感じがありました。
まず、朝のミーティングでは体調や気分を伝えあっていたんですよね。それは当事者さんだけではなく、そこで働く事務員さんや支援者さんなども含めてです。
例えば、、、
「昨日、子どもの運動会でヘトヘトになり、今日の体調は疲れ気味です。気分の方は一日乗り切れるかどうか、少し不安があります」といった感じです。
もちろん、見学者の私たちも自分の体調と気分をお伝えしました。
この朝の気分、体調の発表には、「お互いを知る」というプロセスが存在していると思いました。つまり、相手の体調や気分がわかれば、自分が補完できることがあるかもしれないし、何か声をかけることができるかもしれない。
また、自分の体調、気分も伝えておくことによって、無理することにブレーキをかけられるだろうし、周りもそれに気づきやすくなるといったことです。
それが当事者さんの体調チェックという文脈ではなく、そこに集う人、働く人、すべてに行われていたということが「お互いを知る」というところに結びつくんだろうなと思いました。
訪問看護でも、朝のミーティングをやったりはするのですが、その日の予定やケアに関してのことが主になります。
そこにプラスして、自分の今日の気分と体調を伝えてみる。多分、これだけで、随分、職場の雰囲気やコミュニケーションは変わるのではないかと思います。
例えば、「今日は、〇〇さんは、疲れ気味なんだ」とか、逆に「〇〇さんは、今日はパワフルな日なんだ」ということがわかり、自分がその人にどのように関わればいいのかを考えることができます。
つまり、個人の中にあった気分、体調がシェアされ、それが他者からの関わりにも影響していくということですよね。
これにプラスして、週末には一週間の体調を発表するということもするようです。この一週間を振り返ることによって、日々の単位だけでは見えてこなかった、体調や気分の推移がわかり、翌週に備えられるということなんだろうなと思いました。
この自分の状態を把握するって、なかなか一人ではできないと思うんですよね。私も、すぐにオーバーワークになってしまったり、睡眠時間を削ったりしてしまいます。でも、仲間とシェアする機会があることによって、そのときに振り返るという時間を確保することができます。
そういう意味では、この気分と体調を朝のミーティングで伝え合うというのは、職場のメンタルヘルスにも応用できるのではないかと思いました。
就労を主とした得意を活かす役割分担
べてるには多くの就労サポートがあり、有名なところでは昆布の販売ですよね。
チーム分担や役割分担を行い、得意ことからどの役割を選定するのかを考えるようです。
そして、仕事の終わりにもミーティングがあり、良かったことや苦労したことを伝え合うということでした。
この苦労を伝え合うというのは、単なるコミュニケーションというよりも、一種の外在化の機能も果たしていると思いました。
つまり、人が問題ということではなく、問題が問題であり、人と問題を切り分けるということです。
看護師も、作業療法士も、同じ訪問看護集団という当事者とするならば、仕事の終わりに苦労を共有するというのは、個の苦労からシェアされる苦労となり、これもまた職場のメンタルヘルスに良い効果をもたらしそうだと感じました。
当事者研究による外在化
当事者研究というミーティングを見学させていただいたのですが、当事者研究とは、その言葉の通り、当事者である自分を研究するということです。自己病名をつけたり、症状に名前をつけたりして、自分とそれを切り離すという感じですね。
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