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読書日記
『世界の中で、いちばん柔道を知らない日本人へ』
著:松山三四六
“劇アツ"日本柔道応援団長ことタレントの松山三四六氏が
「柔道を知らない人にこそ読んで欲しい」と書いた
柔道の魅力を語り尽くす本。
柔道をよく知らない人でも分かりやすく書いてあるが、
勿論柔道家にもおすすめの一冊。
何といっても
古賀稔彦・吉田秀彦・篠原信一・井上康生という
4人のレジェンド柔道家との対談が収録されてるのが
当時柔道に励んでいた直撃世代としては嬉しい。
今回紹介するのは対談で篠原信一氏が語った
「心・技・体」についてのお話。
僕ね、「心・技・体」って掛け算だと思ってるんですよ。
例えば「技術」。
自転車乗れる人が次の日急に乗れなくなることってないですよね。
「体力」についても、
ベンチプレス200キロ上げれる人が
次の日に50キロも上がらないということは考えられない。
怪我でもしてなければね。
技術も体力も一定期間トレーニングしてたら
急に落ちることはないわけです。
ところが、「心」です。
今元気な人が3秒後に泣いたり、その3秒後にケラケラ笑うことはある。 プラスからマイナスまで一気に落ちる可能性があるんですよ。
ということは、技術・体力が充実して100%の実力があっても
心の部分がゼロだったら、掛け算で全部ゼロになるんです。
そういう意味で「心・技・体」は3つの調和だというけれど、
一番大切なのは「心」なんじゃないかと思うわけです。
似たような話は野球漫画の
「おおきく振りかぶって」でも語られていたように記憶している。
フィジカルや技術と同じくらい重要なのに、
メンタルに関するトレーニング法というのは余り知られていないし
重視もされていないんではないか、と。
同様にこの対談では、旧態依然とした
上から押さえつけたり
相手の反骨心を煽る為にきつく当たる等の指導法からは
そろそろ業界も脱却していかないといけない、
というような話もされており、
今後の柔道界をどう変えていくべきかという構想を
各人が語っているのも見どころの一つ。
充実の一冊、おすすめです。