
サントラレビュー: バズライトイヤー
総評: 駆り立てる宇宙への冒険
総合評価: ★★★★
作曲家: マイケル・ジアッキーノ
※本編視聴前時点でのレビューになります。
正直なところ、大きな期待を抱いて聴き始めたわけではない。たしかに、ジアッキーノは『インサイド・ヘッド』などピクサー作品における傑作も数々生み出している。他方、『トイ・ストーリー』シリーズ自体はそこまで音楽性豊かな作品とは言い難い。もちろん、本作はあくまでもスピンオフであり、本家とは必ずしも一緒ではないが、個人的な期待感を高めることはなかった。
1曲目はむしろ『トイストーリー2』の冒頭をむしろ期待した節さえあった。3歳の娘に対する"教育"と称して同シリーズを散々見せていただけに、耳にしっかりと残っていたことも影響している。とは言え、『トイストーリー: バズライトイヤー』ではなく、『バズライトイヤー』である。筆者の期待がただ間違っていただけである。
勝手な期待外れで始まったとはいえ、3曲目に差し掛かる頃には、同サントラに対する想いは早くも期待に満ちたものへと変貌した。ジアッキーノを過小評価した己を悔い改めると共に、しっかりと坐して聞くべしとの面持ちである。なんでもありなアニメの世界に、『スタートレック』や『ジョン・カーター』のような現実感あるSF色とアドベンチャー感をしっかりと演出している。ジアッキーノの得意分野とさえ言える素晴らしさを、今や詳細に述べる必要はなかろう。
他方、SF色をただ演出しているだけではない。『トイストーリー』でも再三強調されていたように、バズはスペース"レンジャー"である。"テキサス"レンジャーのイメージを彷彿させるようなドラムの音色をスパイスとして盛り込んでおり、ほかに作曲してきたSF作品との差異をしっかりとつけている。
2020年前半を締め括るタイミングでリリースされただけに、聞き込みが足りない側面があり得る。今後の聴き込み、他作品との比較次第では上方修正の可能性も考えられよう。他方、サントラの中間では中弛みのような部分がある。スペクタクルなSFアドベンチャーまっしぐらというわけでもなければ、エモーショナルに聞かせるというわけではない時間帯が惜しい。ただし、詳述を敢えて避けたとはいえ、これまでのサントラとの類似性も少なからずある。新鮮味溢れる傑作サントラとは必ずしも言い難い側面もある。
以下、各曲評価(4点満点)
おススメ: 3. Lightyear
Mission Log - ★★
Initial Greetings - ★
Lightyear - ★★★★
The Best Laid Flight Plans of Space and Men - ★★
Blown on Course - ★★
A Hyper Failure - ★★
Lightyear's Behind - ★★★
Mission Perpetual - ★★★
The Lone Space Ranger - ★★★
Afternoon Delight Speed - ★★
Light Speed at the End of the Tunnel - ★
Relative Success - ★★
Zurg Awakens - ★
Operation Surprise Party - ★★
A Good Day to Not Die - ★
Zurg's Displeasure - ★★
Space Afraiders - ★
Zurg-onomics - ★
Oh, Hover - ★
Mistake It All In - ★
Buzz, Meet Zurg - ★★
To Infinity and Be Gone - ★★
Hawthorn in Her Side - ★
World's Worst Self-Destruct Sequence - ★
Time to Space Your Fears - ★
Hiding from Yourself - ★
Improv-Izzy-tion - ★★
Back to Buzzness - ★★
Home on Space Range - ★★★★
Infinite MOEtion - ★★★★
One Suite Buzz - ★★★