W杯全出場国紹介 ~GROUP E~
スペイン
12大会連続16回目の出場となるスペイン代表。
スペイン代表の中心となるのが8人のバルセロナの選手たち。
今大会で最 も多くの選手を送り出したスペインの名門、バルセロナは近年、本来の姿か らは大きく遠ざかっているが、スペイン代表には将来を担う期待の若手が招集されている。
新た な黄金期が目の前に迫るスペインの指揮を執るルイス・エンリケ監督は、若い 選手が多いチームにおいて不安視されるメンタル面の問題をエンリケ監督は チームに心理カウンセラー、ホアキン・バルデスを置くことで解決を図る。
安定した戦いをするスペイン代表だが、若くハングリーな選手が多いスペイ ンは一度流れに乗ってしまうと、対戦国はもう手に負えなくなる可能性があ る。
懸念点は純粋なCFが少なく、強豪相手では得点力不足に陥る可能性があ 67 る点か。
しかし、エンリケ監督のもと、現代版にアップデートされたお家芸 のポゼッションサッカーで試合を支配する。
注目選手 ペドリ(バルセロナ)
捉えどころのない選手で、ビル ドアップ、ゲームメイク、フィニッシュと試合の局面は関係なく、ピッチの 至るところに顔を出す神出鬼没ぶりを活かし、すべてのプレーに関与し、的 確に速い判断を見せる。
序盤、終盤と試合の時間帯は彼に とって何の意味も持たず、無尽蔵なスタミナを活かし、90分間通してコンス タントにプレーする。 シネマスコープのように一瞥しただけで周囲の変化 を察知し、ワンタッチで流れるような連携プレーを見せることができる。
す べてのチームメイトにとって理想のパートナーとなりえるぺドリは19歳とい うことを忘れてしまうほどの落ち着きとインテリジェンスでピッチに魔法を かける。今大会ではどんな活躍を見せてくれるのか、世界中から期待が集 まっている。
コスタリカ
コスタリカ代表のW杯での最高成績は2014年ブラジル大会でのベスト8。
グ ループステージではウルグアイ代表、イタリア代表、イングランド代表と同 じ組になり、グループ内では唯一のW杯優勝未経験国で、前評判は低かった。
しかし、それを覆し、2勝1分でグループ首位通過。ブラジル大会最大のサプ ライズとなった。カタールW杯に臨むチームは、自分たちの力不足を自覚し、 全員でハードワークして相手の一瞬の隙を突く弱者の戦い方を心掛けている。 試合前の国歌斉唱も全員が全力で歌う姿は壮観。
今大会でもスペイン代表、ドイツ代表といったW杯優勝経験国 撃破を狙う。
注目選手 ケイロル・ナバス(PSG)
2014年のワールドカッ プで世界最高のパフォーマンスを見せ、死の組といわれたグループの中でコ スタリカ代表はグループを突破。
ナバスはコスタリカの全5試合に出場して、 失点はわずかに「2」。
ビッグセーブを連発し、コスタリカ史上初のベスト8 進出の立役者として母国の英雄となった。
大会終了後には、スペインの名門 レアル・マドリ―へと移籍。CL史上初の大会3連覇に貢献するなど、長年に わたって世界最高のGKの座を争ってきた。現在所属するPSGでは出場機会に 恵まれていないが、その実力はいまだ世界屈指である。
コスタリカが誇る ビッグセーバーは、格上が集うグループでチームの堅牢な守備を支え、どれだ けチームを救うことができるのか注目だ。
ドイツ
18大会連続20回目の出場となるドイツ代表は4度の優勝を誇る強豪だが、 FIFAランキング11位で第1シードに入ることはかなわなかった。
前回大会で も連覇確実と言われながら、メキシコと韓国に敗れてグループステージ敗退。 同国史上初のグループステージ敗退となった。
それだけに、同じグループの コスタリカ、日本に対しても“再び”負けることは許されない。
今大会では、ムココ(ドルトムント) やムシアラ(バイエルン・ミュンヘン)など次世代を担う若手も召集されており、 前回大会では当時19歳のフランス代表ムバッペ(PSG)が一気にスターダムを 駆け上がっただけに彼らには大きな期待がかかる。
今年に入ってから引き分 けが多く、勝ちきれない試合が続くドイツだが、メンバーは世界最高レベル。
名将ハンジ・フリック監督のもと8年ぶりの世界王者となれるか。
注目選手 ヨシュア・キミッヒ(バイエルン)
層の厚いドイツ代表の中でも不動のMFである彼は、所属するバイエルンでも数々 のタイトル獲得に貢献している。
見かけによらず熱い男で筋肉量もすさまじ く、フィジカルでも中盤を制圧できる。
また、バイエルンでも代表でもコン ビを組むキミッヒとゴレツカのダブルボランチは縦に早く、最終局面にも顔 を出す一方で、守備面でも一流で仮に彼らの背後をとってバイタルでボール を受けても、とてつもないスピードでプレスバックしてきた彼らにボールを すぐに奪われる。
今大会でもドイツの中盤にどっしりと鎮座し、向かってく る相手の攻撃の芽を摘み取ることが期待されている。
日本
アジア最終予選では、幸先の悪いスタートで出場が危ぶまれるも、何とか巻 き返しサウジアラビアに次ぐグループ2位で本選出場を決めた日本代表。
1998 年フランス大会で初めて本選に出場して以降、日本代表はグループステージ 敗退とベスト16を繰り返している。
前回大会ではベスト16だったため、ジン クス通りではグループステージ敗退となるが、今大会こそはジンクスを破る ことができるか、注目が集まっている。
また、前回大会では赤い悪魔と呼ば れるタレント軍団、ベルギー代表相手に善戦するも試合終了間際に高速カウ ンターで沈められたが、前回大会以降、冨安健洋(アーセナル)や久保建英(レ アル・ソシエダ)など東京五輪世代の若手たちがA代表でも主力となり、戦力 面ではさらなる強化がなされた。
東京五輪では4位に終わり、自国開催となっ た大会で結果を得られなかった彼らは今大会にかける思いも強いと思われる。
そんな日本代表を率いるのは、森保一。
2012年からサンフレッチェ広島で5年 半指揮をとり、低予算のチームを3度のリーグ優勝に導いた名将だが、2018年 から日本代表の監督に就任してからは、彼の手腕に多くの疑問が上がってい る。
無策と揶揄され続けている指揮官は4年間の積み重ねがあったことを証明 し、日本をどのようにベスト8に導くのだろうか。
注目選手 鎌田大地(フランクフルト)
得意とするポジションはトッ プ下で、プレースタイル上、自由に動き回るため、そのタスクが与えられて いれば、偽9番、シャドー、サイドでも活きることはできる。
サガン鳥栖でそ の適正を見出されて以降、順調にステップアップを続けていき、昨季はフラ ンクフルトの主力として、日本人ではフェイエノールト時代の小野伸二以来 となるEL制覇を達成した。
今期はCLで日本人史上初となる3戦連発でチーム のグループステージ突破に貢献した。
視野の広い彼独自のセンスで放たれる パスは状況を一変させる。ビッグマウスで知られる彼が今大会では威風堂々 とピッチ上でプレイし、日本をベスト16へと導けるか。