【打ち切りマンガ感想】生まれる時代を間違えたマンガ【NERU―武芸道行― 】
惜しくも打ち切りになったマンガ。NERUの紹介です。
(サムネは「週刊少年ジャンプ」集英社、2021年31号4, 5項です。)
正直打ち切られそうなマンガがその通りに打ち切られただけなんですけど、コアなファンを獲得していそうなマンガでした。
コミックス1巻は発売中です。購入してみましたが、語られなかった設定や連載までのエピソードが語られています。気になる方は読んでみてください。
帰らぬ祖父の残した書物で一人鍛錬を続けるネルは、手練の技を繰り出す女子高生・朱琵に天門武芸十八般高校へと導かれる。現代に生きる武芸家達と出会い拓かれる、ネルの新たなる道!! 本格武芸学園譚、開幕!
kindle販売ページより引用
現代で武芸・武術をやるマンガです。
武術という真剣などの戦いをする上で、絵柄が古い事は良い方向に働いたはずですが、惜しくも打ち切りとなりました。
ざっくり評価
ストーリー★☆☆☆☆
画力★★★★★
マンガ技術★★★★☆
ストーリー★☆☆☆☆
大まかな話の展開を下に書きます。
若干展開が遅かったかなと思います。
1~4話:プロローグと初めての真具での試合
5~7話:入試編。
8~11話:入学式と入寮
12~16話:竜禅先輩と試合
17~18話:ネルの掘り下げと最終回
1話は54ページもありますが、絡まれている朱琵を助けるところから始まります。昔ながらの始まり方ではありますが、1話で朱琵と戦っていることで進展が遅くなってしまっているように思います。
しかしこれは直接の原因ではないと思うのです。
では、なぜ人気が出なかったのでしょう?
私が思うに、1話でネルの戦う目的や、武芸に対する決意を示せなかった点です。
比良賀みん也「NERU」(「週刊少年ジャンプ」39号、集英社、2021年)289項。
この目標の提示も7話なんですよ。
これはいくら何でも遅すぎるんじゃないかと思います。
そしてなんで武術のてっぺんを目指すのかも良く分かりません。
これは1話でしっかりやる必要があります。
この点は反省点でしょうね。
最近始まった「アヤシモン」で考えれば分かりやすいですね。
主人公が戦う理由はマンガの主人公になりたいからですよね。その世界にあこがれて体を鍛えてきて人間で相手がいなくなっていたので、人外との戦いにワクワクするわけですよね。これをバトルを交えながらしっかり1話で説明しています。
主人公の目的やその理由の説明(主人公のキャラ立て)があまりにも遅かったために、読者がどんな気持ちで楽しめば良いのか分からず離れていってしまったのかなと。説明があったころにはもうその人たちは読んでいないという事態になっていたと思います。
ちなみに1話では武芸書を大切にしているという話が出てきますけど、こういう風にやるよりは、主人公に直接言わせた方が良かったという事です。
また例えで申し訳ないですが、「ワンピース」で海賊王に俺はなる!とやるのは大切だという話です。
良かった点もありました。
比良賀みん也「NERU」(「週刊少年ジャンプ」41号、集英社、2021年)412項。
これは9話の入寮の時に掘り下げされたヒロイン?の望宮要ちゃんです。
感情が分かりやすく、読者が受け入れやすいキャラクタだったと思います。
個人的には好きなキャラクタです。ネルとのラブコメ展開を期待していたんですが、ついぞ叶いませんでした。
正直要ちゃん以外のキャラクタには魅力を感じませんでした。
例えばこれの兄(望宮棗)は良く分からないシスコンキャラです。
こちらはあんまり魅力的に見えなかったりしました。
読者が好きになるキャラクタ作りについてももう一歩頑張って欲しかったです。
画力★★★★★
古い絵柄ですが、上手です。
見にくいところもなく、キャラクタの表情も良かったです。
特に表情が個人的には気に入っていたのでもっと前面に出して欲しかったかなと。
比良賀みん也「NERU」(「週刊少年ジャンプ」32号、集英社、2021年)99項。
この切れ長の目が格好良いです。
こういう別人のような表情というのは「これから何か起こるぞ」と期待させてくれるので、すごく良いです。
これ以外もキャラクタのデザインは古いですが、本当に絵はちゃんとしています。
それだけにもったいないですね。
マンガ技術★★★★☆
疑問があったのはこの部分位です。
NERUの部分に飛ぶようになっていると思います。
・名前を呼んで覚えてもらう工夫をしてない。
・とっておきの見開きでポカ。
この辺を上の記事では触れています。
あとは、ストーリーの部分でも書きましたが、キャラ立てが上手に出来ていないのに、濃いキャラクタばかり出てくる点も気になりました。
優先順位を付けてまずはネル、次にライバル(ヒロイン)などひとつずつしっかりやって欲しかったです。
さいごに
絶対に言いたいのは絵は上手です。
古いのも間違いないです。
しかし、絵が古いから人気が出なかったわけではないと思うのです。
どんな作品がヒットするかは私には分かりませんが、結果論的に人気が出なかった本作に対して、その原因を考察することは出来るわけです。
その原因はキャラ立てが一番大きかったと思っています。
タイトルの生まれる時代を間違えたというのは、半分釣りです(すみません)。
本作は打ち切られてしまいましたが、先生は実力のある方だと分かりました。
そういった点を踏まえながら比良賀先生の次回作を気長に待ちたいと思います。
私はコミックスの2巻以降は購入しないと思いますが、お好きな方は購入して応援しましょう!
最後までお読みいただきありがとうございました!