タコピーの原罪の「原罪」とはなにか
自分の解釈を簡単に書きたいと思います。
これは以前記事を書いた時(7話)に、既にツイッターで言及されていた事を自分の中で咀嚼したものになります。
オリジナルとかそういうのを主張するつもりはありません。
ただ伝えたいだけです。
そもそも原罪とは
単なる罪の事ではありません。
ユダヤ教やキリスト教の経典に出てくる用語です。
その意味を超訳すると下みたいな感じです。
神によって禁じられた善悪を知る知識の木の実をイブとアダムが食べ、善悪の知識を付けたという話です。
詳しくはwikiを読むと良いです。
タコピーにとっての原罪とは
これを説明するためにアダムとイブにとっての神を説明します。
アダムとイブは神によって作られた人間です。
その神が決めた唯一のルールが「善悪を知る知識の木の実を食べてはいけない」です。
それを破ってしまったことが原罪でした。
タコピーにとっての”神”はもちろんハッピー星のママです。
さて、ママからの”掟”を思い出してみましょう。
はい。「異星人の手に道具を委ねてはいけない」です。
もちろんタコピーもこの掟を破ってしまいます。その結果しずかちゃんが死んでしまうわけです。
しかし、しずかちゃんの死が原罪ではありません。あくまでルールを破ったことが原罪なのです。
アダムとイブは破った後どうなったか
ここが重要です。そして私はクリスチャンでは無いので真偽不明です。
wiki以外のページを読んでみるとこんな解釈があるようです。
二人は善悪を知る知識の木の実を食べたことで、自分たちで善悪を決めることが出来るようになってしまい、神に対しても善悪を決められるようになってしまったのです。
その神への反逆こそが原罪の本質であると。
この解釈がどれほど一般的なモノなのかは分かりませんし、ピクシブ百科事典なので出典の記載もありません。
しかし、これほどまでにタコピーの原罪にピッタリなものは無いでしょう。
これを知ってからタコピーがした行動に注目して見ると感想が変わるのではないでしょうか。
タコピーは破った後どうなったか
タコピーは1話の時点では無知です。
それは一部の読者がイラつくほどで、ハッピー以外の感情を知らないように見えます。
そのタコピーが掟を破ったことでしずかちゃんが死んでしまい悲しみの感情を知るのです。
つまり、タコピーは掟を破ったことでハッピー以外の感情を知るのです。
アダムとイブが善悪を知ったのと同様に。
しずかちゃんが死んでしまった悲しみに始まり、タコピーはしずかちゃんやまりなちゃんに変身したりしながら恐怖や悪意などの感情を知っていきます(詳しくは以前の記事参照)。
そういったハッピー以外の感情を知った上で、タコピーが自分で何がハッピーか考えられるようになることが原罪の本質なのです。
ちょうどアダムとイブが自分たちで善悪を決められるようになったのと同様に。
もう思い出しているかもしれませんが、13話を引用します。
タコピーが自分の意思でママに逆らいます。まさしく神への反逆です。
とは言えここではまりなちゃんのためにしずかちゃんを殺すために行動しているですよね。
行動自体が間違っていたとしても、自分の意思でハッピーとは何かと探し始めたタコピーの行動なのです。
この物語のハッピーエンド
タコピーは東くんとお話しをしたり、しずかちゃんと一緒に過ごしたりします。
この中でタコピーはさらに成長し、殺すことがみんなのハッピーにはならない事にもちゃんと気づきます。
そしてタコピーは自分にとってのハッピーを見つけます。
タコピーの答えはしずかちゃんとまりなちゃんが両方ともハッピーになるために自分を犠牲にする選択でした。
それをしっかりと受け取れた二人はおはなしをしてハッピーになります。
この物語はタコピーにとってのハッピーエンドなのです。
ちゃんとハッピーな物語だよね!
これが言いたかったのです。
ちょっと追記
この記事ではタイトルにもなっている原罪と物語中の設定について説明しました。
あくまで設定です。
その世界を通してタイザン5先生が何を伝えたかったのかは皆さんの受け取り方次第です。
例え話で恐縮ですが、設定とは、「山月記」での虎や「ひぐらしのなく頃に」での雛見沢症候群です。
著作者が表したいメッセージは他にあります。私が受け取ったメッセージは山月記ではプライドと実力の乖離とその葛藤だったし、ひぐらしのなく頃にでは友情でした。
タコピーから受け取ったメッセージを言語化しようと思っていたところに、極めて自分と近い考えで、自分よりも上手に言語化されている記事を見つけてしまったので紹介させてください。
追記終わり
さいごに
色々な方が毎週読んで、叫んだりイラついたり絶望したりした物語でした。
そのリアルタイム性とその時の感想を否定するつもりはありません。しかし、タイザン5先生は初めからこのルートと着地を考えて始めているはずです。でなければ原罪というタイトルはつけられません。
タコピーの記事の中にはタイザン5先生を貶めるような表現をしているものもありますが、ここまで読んで頂けた方は凄い先生だと思っていただけたのではないでしょうか。
この結末や作品自体に好き嫌いはあれど、駄作でなんかないんです(駄作だったとしても著作者を貶めるのは間違っていますが)。
タコピーとタイザン5先生の良さが少しでも伝われば幸いです。
タイザン5先生のインタビューも合わせてどうぞ!
ここで「陰湿なドラえもん」というキーワードが出てきます。
でも表面の設定が陰湿なだけで、ドラえもんがのび太に与えるようにタコピーが二人へ与える愛情の物語で、根幹のテーマは共通しているんじゃないかと思います。
スタートの設定とゴールのテーマだけをドラえもんから持ってきて、途中の通る道をとことん変えたのがタコピーです。その縛りだけでなく原罪という独自のキーワードも加えて、このレベルの物語が作れるって本当に凄いです。
最後まで読んで頂きありがとうございました!
自分の期待通りにちゃんと終わってくれて嬉しいですし、そのテンションのまま書いているので粗い点はご容赦ください。
もし良かったらスキやツイート、コミックスを買っていただけると嬉しいです。
図々しくも以前の記事も載せておきます。
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