【社員座談会#4】SCOグラフィックデザイナーの思いに迫る!コーポレートデザイン部 チエミとアカリ 中編
知っているようで知らない社内のあんなこと、あの人のこんなこと。知っていたら面白い!ためになる?なんならSCOを知らない皆さんにも知ってほしい!
そんな事柄、人柄を広報が深掘りしていくコーナー!第二回のゲストはSCOの様々なデザインをつかさどるグラフィックデザイナーのチエミさん、アカリさんのお二人です!
話は盛り上がり、興味深い内容でカットはできない!ということで、なんと今回は前中後の三部作!?
前編ではお二人のキャリアやSCOでのお話を伺いましたが、今回の中編では、もう少し突っ込んだ、デザイナーとしてのお話を伺います。
聞き手:こういう場だからこそ言える、なかなかわかってもらえないデザインの大変さってどんなものがありますか?
アカリ:そうですね。みなさんからすると意外かもしれないのは「フォントを変えること」が思っているより大変なんだよということでしょうか。フォントはみなさんボタンひとつで変えられるイメージかと思いますし、実際そうなんです。しかしデザイナーの仕事はフォントを変えた先に、それを綺麗に見えるように、読みやすいようにするという作業が入ってきます。
一文字ずつちゃんと間が揃ってるかとか、大きさとか上下が揃ってるかっていうのはフォントによって結構設定が違うんですね。そのままだと違和感があるものもあるので、丁寧に揃えていく必要があるんです。ですから皆さんが思っているよりも時間がかかってしまうこともあるので、「フォント変えるだけなのに?」と思われることもあるかと思いますが、地味にやることがあると知ってもらえたらいいですね。(笑)
チエミ:そこはデザイナーのこだわりの部分になってきますからね。突き詰める時間があればクオリティを求めたくなりますし、時間がなければ、どこかで割り切らないといけないところもあります。
アカリ:そうですね。どこを妥協するかどうかは残された時間とこちらの気力の問題ではありますね。ぱっと見ただけではあまりわからないですし、綺麗と感じるかどうかも感覚の問題ですから、細かいところを調整するというよりは全体を見て、綺麗だなと思ってもらえるように作るというのを意識しています。
チエミ:このこだわりの部分はどちらかというと、同業者のデザイナーに気づかれたくない、妥協したなと思われたくない部分が多いですね。多分ほかの職種でも同じだと思うんですが、普通の人はわからないけども、知ってる人が見たら明らかにおかしいっていう部分を直すのが大変なんですね。
聞き手:チエミさんも同じような感覚は何かありますか。
チエミ:シンプルなものほど難しいってことでしょうか。やっぱり何かのコピーになってはいけないですし、オリジナリティをシンプルな中でどこで出していくのか、というところでデザイナーの真価が発揮されるのかなって思いますね。引き出しの多さっていうのかもしれません。
聞き手:文章も短く書くほうが難しいですしね。
チエミ:そうですよね。デザイナーの本領として生かすのはやっぱりシンプルなものだったり、文字のサイズだったりにしてもですけど、細部に宿る部分だなと思っています。
聞き手:こだわり、とは少し違うかもしれませんが、皆さんが仕事の中で大切にしていることはどんなことがありますか?
チエミ:そうですね。今お話ししたような細部に宿る部分は、ある意味絶対条件のようなものですから...大切にしていることと言えば、スピードですね。
聞き手:細部にこだわることはもう当たり前ですか?
チエミ:当たり前ですね。とはいっても時間は限られているので、全て綺麗に完璧に、とはなかなかいかないです。エヴァンゲリオンで有名なアニメ監督の庵野監督が、テレビ(『プロフェッショナル仕事の流儀 庵野秀明スペシャル』)で「何が物語を決めるのか」という質問に、直感でも経験でもなく、「締切ですね」と答えていて、すごく共感したことを覚えています。
聞き手:プロですね。
チエミ:細部はいくらでも細かく作れるし、作り込めますが、結局締切が決まってるからそこで終わりだという部分を意識してますね。
聞き手:確かに時間がたくさんあればこだわって作れますが、限られた時間の中で作ることをもとめられるのがプロですよね。アカリさんはこのあたりどうですか?
アカリ:スピードに対しての意識はすごく分かりますね。他のことで言うと...私は、どんなアウトプットを期待してるのかをうまく汲み取ることを大切にしていますね。注文される方とかクライアントさんって、デザインをしたことないので、何をどう伝えたらどういうものができるのかっていうのがよくわからないと思うんです。それをうまく聞いてあげるっていうのがデザインする上ではとても大切だなと思っています。
聞き手:なるほど、共通するイメージの共有って大事なんですね。
チエミ:ずっと四苦八苦してる部分ではありますね。(笑)
聞き手:うまくコミュニケーションをとるために気をつけていることはありますか?
チエミ:私は「キーワード」。要はオノマトペに近いんですが、「綺麗」という言葉にもいろんな種類があるじゃないすか。スルっとしてるのか、それともカクカクして、カチッとしているタイプなのか、その人が綺麗と言ったとしても、どういった種類の綺麗なのかは、より深掘りしようと意識してますね。
聞き手:そうですね。人によっても違いますね。
チエミ:あまりこだわってなさそうで、実はめちゃめちゃこだわってる人が一番ドキドキします。初稿でデザイン案を出したときに、どんな反応をするのかっていうのはその後の修正にとっても参考になるので重要視してますね。
聞き手:デザイナーの方にしかわからない感覚かもしれませんね。ところでクリエイティブでいるためには日々のインプットも重要だと思うのですが、そのあたりはどうされているんですか?
アカリ:基本的にネットになりますが、バナーなど気になるものはチェックするようにしていますね。
聞き手:わざわざ時間を取ってるんですか?
アカリ:いえ、時間をわざわざ取るというほどではないのですが、日常の生活の中でデザインってすごく溢れてるので。例えばインスタグラムを見ていても様々な広告バナーが出てきますし、そのときに気になったものを保存しておくことはあります。あとは自分がwebで買い物するときの商品ページ、他にも街を歩いていてもポスターとか、ポスティングされているチラシとかおしゃれなものや参考になりそうなものはストックしておくようにはしてます。
チエミ:私も同じですね。目に入ってくる情報全てが教科書みたいなものだなと思っています。例えばお風呂に入っていても、「このシャンプーのこのラベルってここに『センター揃い』にしてるんだな」とか、お茶のラベルにしても「ここは薄くしてるけれどよく見るとちょっと乗算かけてるな」とかいうのがわかるので、わざわざ勉強の時間というように取るよりは、普段の生活でそういったデザインの細かいところに気づけるかっていうのがデザイナーの違いなんじゃないかなって思います。
聞き手:まさにデザイナーあるあるなのかもしれませんね。
アカリ:デザインが気になってしまうということはありますよね。周りを見渡せばもちろんかっこいいものばかりではなくて、イケてないものとか、正直ちょっとこれは...というものが、パッケージとかポスターとかにはよくあるんですが、そこから一歩踏み込んで、なんでイけてないのかとか、どうしてデザインとしてこうなってしまったのか、というのは結構考えてしまいますね。
チエミ:そうですね。なぜイケてないんだろうの言語化と自分だったらこうするなっていうのは無意識に考えることが多いですね。
アカリ:あと、どうしてこうなってしまったんだろうっていうのも想像しますね。例えば納期が厳しかったのかなとか、あと予算がなかったのか(笑)いろいろそういうのは考えちゃいます。
チエミ:わかります。(笑)web上でよく言われる「デザインの敗北(スタイリッシュなデザインを追求した結果、ユーザビリティが著しく損なわれ、極端に使い勝手の悪い(分かりにい・使いにくい)デザインになってしまっているさま)」という言葉があるんですが、あれも単純にデザイナーの仕事の問題なのか、デザイナー以外の何かの圧力によってそうなってしまったのかとか考えちゃいます。その何かの力に抗えずに...仕方ないと思いながらやっているんだろうなとか(笑)
アカリ:そうじゃなきゃこうはならないだろうなとかも考えちゃいますよね。この規模の会社でこんなデザインを作るわけがない。多分、何かの圧力だなとか(笑)
聞き手:さすがはデザイナーさんの感覚ですね。普通はそこに何も思わないですし、裏にあったであろうストーリーを想像することはないですから。おもしろいですね。
→次回の後編はお互いの人柄にも迫ります!