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【はたらけ!福田典子広報OL奮闘記 #7】~非常ボタンを押したこと、ありますか?~

こんにちは、福田典子です!
いつも、お仕事リポートから始まりますが、
今日は、お仕事を終えた帰り道の出来事・・・

我が子の保育園の送り迎えは、基本的に主人へお願いして、行けないときに私が行くようなバランスになっています。その日は私がお迎え担当。

少し早めに職場を中抜けさせてもらい、保育園へ向かう途中の電車のなか、何駅か過ぎたあとに、突然「バタン!」

普段、電車に乗っていたら聞くことのないような大きな音がして、びっくりして振り返ると、誰かが倒れている・・・!


しばらく、いや数秒は周囲の誰も動かず、「転んじゃったのかな?」というような空気に感じましたが、よくよく状況を見てみると、長髪の方が倒れてから微動だにしない様子。私のおぼろげな記憶だと顔面から突っ伏して倒れるような形だったと思います。

近くに座っている方が恐る恐る声をかけてみるものの、反応がありません。

どうしたらいいか分からないものの、私も思わず数歩近づいて、、、
でも何をしたらいいか分からない。

「こういうときってどうするんだっけ?」

知り合いではないものの、目の前で人が倒れている状況に遭遇するのが初めてで、気が動転していたのか、一瞬なにをしたらいいか分からなくなっていました。

きっとここまででも30秒、1分は経っていないくらいの時間しか経過していなかったのではないかなと思います。

そのとき思い出したのは、電車の車両内にあるSOSボタン
視界に入った近くの人が押そうとしているのは、緊急時に車両の扉を開くためのボタンでした。

いや、違う。そのボタンじゃない。このあたりには見当たらない。えっと、、、SOSボタンってどこにあるんだ?

普段、通勤で見かけているはずなのに、どこにあるのか思い出せない。

車内を見渡すと、そのときの進行方向、優先席近くの扉の横にSOSボタンを発見。

見つけたのはいいものの、

「押していいのか・・・?」

「もうすぐ到着する駅で駅員さんに知らせればいいのでは?」

「でも、それじゃ伝達が遅いかもしれない。」

「到着するまでに意識が戻ったり、ただ転倒しただけで、”元気でした”ってなったら?」

数秒間で脳内会話が何周もするなか、

「いや、これは緊急事態。何もなかったらそれはそれでいいじゃないか。」

意を決して、SOSボタンに指をかけました。

軽く触れても押せません。
力を込めて、薄いプラスチック板が割れ、ようやくボタンを押すことができました。

「どうされましたか?」

「人が倒れています。」

記憶が定かではありませんが、そのような会話をし、1分ほど経って次の駅に到着。
電車に乗っていた車掌さんが駆けつけてくださり、電車内の乗客の方と一緒に4人ほどで倒れていた方を抱えて車内からホーム上へ運び出しました。
加えて、駅員さんも2人かけつけてくださり、私もSOSボタンを押した説明が必要かと思いホームへ。

「救急を呼んだ方がいいですね。」と駅員さん同士が会話したあとに、乗客の方に状況を聞く流れが目に入り、余計なことだろうかと不安に思いながらも、初めて119に電話しました。

「火事ですか?救急ですか?」

『小学生の頃に行った福岡市民防災センターで、何度も”遊び”と称して学んでいたことがここで生きてくるなんて。』と頭の片隅で思いながら、「救急です。」と答えました。

地下鉄の情報を伝えるのは、駅員さんの方が適していると判断してお電話を代わり、その間にホーム上にいた女性のお医者さまが駆けつけて倒れていた方に話しかけてくださり、返事がなかった車内のときよりもうっすらと反応が返ってくるようになっていました。

もうひとりの駅員さんが大きな袋を持って駆けつけ、遠巻きに見ていた男性が購入した水を差し入れてくださり、救急隊の方の到着を待つ形となりました。

倒れていた方は、女性で日本語があまり話せない、おそらく海外の方。
おそらく熱中症で倒れたのだろうということでした。

そのあと、彼女がどうなったのか知る由もありませんが、本当に無事を祈るばかりです。

保育園の先生もお迎えが20分ほど遅れてしまったことを寛容に受け入れてくださり、感謝。

主人にもこんなことがあったから気を付けようと情報共有をしたところ、「ボタンを押したのえらいね。動けない人多いから。」と。主人は住んでいるマンションでボヤ騒ぎがあったときに、住んでいる部屋からみんな逃げてはいるものの、みんな呆然としているだけで誰も消防に電話をしなかったことがあり、自身が消防に電話をかけた経験があったので、そのような言葉が出てきたようでした。

もし動けなくて対応が遅れていたら・・・
人が倒れたまま、次の駅、次の駅と運ばれていたら・・・
「あの時、動けて良かった。」そう思わざるを得ません。


もし、目の前で人が倒れたら?
もし、友人や家族が、非常事態に陥ったら?

突然のことに気が動転して、私のように「何をしたらいいんだっけ?」と動けなくなる瞬間があるかもしれません。

見て見ぬふりをするまでいかなくても、「非常ボタンを押したら、ほかの迷惑がかかるかも・・・。」なんて気持ちがボタンを押す勇気を妨げてしまうかもしれません。

でも、やはり、人の命が大切。人命優先です。
その倒れた人を助けられるのは、非常ボタンを押せるあなただけかもしれないのです。

何かあったときのために、非常ボタンを押す心の準備をしておくこと、実際に押す勇気を持つことが本当に大切だと感じました。

いたずらに押すことはもちろんいけませんが、これを読んでくださったあなたには”緊急事態のときには自分が動く”という心づもりでいていただきたいなと思っています。

明日は我が身。
自分が倒れたときにはきっと誰かの助けを借りることになるでしょうしね。


ちなみに、
車両内にあるSOSボタン「列車内で体調が悪くなった場合ならびにトラブル発生時や不審物を見かけた場合など」に使用するもの。今回のように体調不良の場合は使用して構わないそうです。調べたところ、新幹線や在来線では車両連結部のドア付近にあるようでした。
参照:https://www.jr-odekake.net/railroad/service/aed.html

そして、今回は押しませんでしたが、ホーム上にある非常停止ボタン「ホーム上から転落しそうなお客さまや列車に接触しそうなお客さまを見かける等、危険と感じた場合はボタンを押して係員に知らせてください」「線路内に列車の運行に支障があるものを発見した場合など」に押すものという表記を確認しました。
JR東日本のなるほどQ&Aguideが分かりやすかったので、ご参考までに。
https://www.jreast.co.jp/saferelief/operationguide/pdf/emergency.pdf

熱中症の怖さを目の当たりにするとともに、SOSボタンを押す勇気、日常から緊急時にどういう対応をしなくてはいけないのかを念頭に置いておく大切さなどを感じた出来事でした。


この先1か月も全国的に厳しい残暑が続くようです。
9月も異例の猛暑となる恐れがありますので、みなさん暑さ対策は忘れずに、元気に夏を乗り越えましょうね。