【はたらけ!福田典子 広報OL奮闘記 #8】~医療従事者オーケストラ~
こんにちは!福田典子です。
みなさん、日頃クラシック音楽は聴きますか?
私は、高校生あたりまでクラシックピアノやクラシックバレエを習っていたおかげで、クラシック音楽を聴く機会も多かったなと思っています。
でも、ワインをくゆらせながらクラシックをたしなんだり、正装をしてクラシックコンサートへ出かけたりはあまり・・・なので、この仕事の依頼をいただいたときは少し背筋の伸びる想いでした。
Jオーケストラ2024コンサートの司会。
Jオーケストラは、医師・歯科医師・薬剤師・看護師をはじめとする医療従事者と医療系学生を中心に構成されている100名規模のオーケストラです。
特に、コロナ禍において多くの生活が制限されましたよね。対面でのコミュニケーションの大切さや音楽の力を再認識した方々が集まり、「音楽から生まれる共鳴・共感が社会の安定につながる」という理念のもと音楽を通じて社会に貢献しようと活動を行っているそうです。
この日のプログラムは、
シベリウス:交響詩《フィンランディア》
ガーシュイン:ラプソディーインブルー
ラフマニノフ:交響曲第二番
指揮を執ったのは、柳澤寿男さん。
旧ユーゴスラヴィア地域を中心に活動されていて、バルカン室内管弦楽団の指揮者でいらっしゃいます。今年度、その活動が評価され、日本国外務大臣表彰を受賞されました。
そして、ゲストピアニストは小沢咲希さん。
日本を代表する、正統派ジャズピアニストとして、その卓越した技術と表現力が国内外で高く評価されていて、ブルーノートジャパンがプロデュースする日本橋のダイニング「セッション」でのソロピアノライブはすぐに完売。去年、デビューアルバムとなる「Cheers!(チアーズ)」をリーリスするなど、今注目のピアニストです。
さらにオーケストラとして演奏されるのは、医療に携わるみなさん。ご多忙のなか時間を見つけて練習を重ねてこられています。医療系学生のみなさんは、1~2週間前までテスト勉強と並行して練習されてきたそうです。
このオーケストラの司会、いつも以上に緊張する気がしてならなくて、お話しをいただいた際に背筋がしゃんとしたわけです。(どのお仕事も、もちろん大切に向き合わせていただいています。)
そんな私の張り詰めた気持ちを緩めてくれたのが、ガーシュウィンの『ラプソディー・イン・ブルー』です。
この曲はクラシックとジャズの垣根を超えた革新的な作品として、アメリカ音楽の象徴的な存在として知られていますが、私のイメージでは「トムとジェリー」!
実は、2000年の映画「トムとジェリーの大冒険」では、ガーシュウィンの「ラプソディ・イン・ブルー」が象徴的に使われているのです。
キャラクターたちの動きやアクションが、音楽のリズムや旋律に合わせてぴったりとシンクロしていて、アニメーションの中で音楽が物語をリードしたり進行させたりする重要な役割を果たしています。
言語関係なく楽しめる 「トムとジェリー」のようなアニメでは、クラシック音楽が使われている機会も多く、視覚的なコメディと音楽的なタイミングが絶妙に組み合わさっている点が魅力です。また、音楽を耳にしたときに「クラシック音楽だから私とは縁遠いわ。」なんて思わずに「オーケストラの舞台裏でトムとジェリーが追いかけっこしたり、ピアノでかくれんぼしたりしていたシーンの曲だ!」と思い返せるので、アニメとクラシック音楽の掛け合わせは子どもの教育にもとてもいいものだなと感じています。
つまり、私も、アニメとクラシックの掛け合わせのおかげで、クラシックに親近感を抱いた子どものうちのひとり。
今回のJオーケストラの司会も「ラプソディ・イン・ブルー」のおかげでより楽しみなお仕事になりました。
もう少し調べてみると、楽曲の制作過程でも面白い出来事がありました。
1924年の1月3日深夜、ガーシュウィンがビリヤードを楽しんでいたところ、一緒にいた兄アイラ・ガーシュウィンがたまたま新聞で、ポール・ホワイトマンのコンサート「現代音楽の実験」の告知を見つけました。
そのコンサートの曲目には多くの作品に混ざって「現在作曲中のジョージ・ガーシュウィンのジャズ・コンチェルト」が含まれていると書かれていたそうです。
そんな作曲の依頼をされた覚えがなく驚いたガーシュウィンは、翌日あわててホワイトマンに電話をかけましたが、ホワイトマンのオファーは本気。
公演日は2月12日。わずか数週間しか時間がないなかで、ガーシュウィンは急遽、新作、しかもジャズコンチェルトの作曲に取り組まなければならなくなりました。
「ラプソディ・イン・ブルー」の着想は、ガーシュウィンが列車に乗っている最中に思いついたと本人の手紙のなかで綴られていて、列車のリズムや外の風景からインスピレーションを受け、次々とメロディが浮かび、全体の楽譜までイメージできたそうです。
「ブルー」という言葉は、当時のアメリカ音楽を象徴するジャズやブルースを意味しているので、タイトルにもこの曲のテーマがよく表れていますよね。
さらに、初演にはガーシュウィン自身がピアニストとして参加しましたが、実はその時、楽譜は完全には書かれておらず、多くの部分が即興演奏に頼っていたというから驚きです。
特に有名な冒頭のクラリネットのグリッサンド=音を滑らせるように上昇させる奏法は、別日にクラリネット奏者が音階を練習していた音を聞いて、それがそのまま採用されたとか。
ガーシュウィン自身は、クラシック作曲家としての評価を望んでいたものの、この「ラプソディ・イン・ブルー」でのクラシックとジャズの融合に成功させた挑戦が、彼の音楽的個性を色濃く反映させたものとなって、アメリカ音楽界に新しい風を吹き込んだ形となりました。
これを知って改めて聞いてみると、より一層味わい深くなる楽曲ですね。
そんな、クラシックの壮大さと優雅さがありながら、自由でダイナミックなジャズの魅力がたっぷりと詰まった楽曲を、今回のゲストソリスト、小沢咲希さんはよりジャズらしさを増した演奏で披露してくださり、卓越した技術と表現力で会場全体を魅了していました。
私も舞台袖でからだ全体で味わいながら音楽を楽しませていただき、「なんていい日なんだ!」なんてリフレッシュしながら、生演奏の素晴らしさを改めて感じる機会となりました。
また、今回のコンサートでは、医療活動に関連した社会貢献の一環として、「新型コロナ後遺症」のブレインフォグのさらなる普及と研究を支援する目的で募金活動も行われました。
ブレインフォグは、集中力の低下や思考の遅れといった認知機能の低下を伴う症状です。特に、新型コロナウイルス感染後にこの症状を訴える人が多く、治療法が求められています。 そこで注目されているのが、rTMS(反復経頭蓋磁気刺激)という先進医療技術で、脳の特定部位を磁気パルスで刺激し、神経の活動を調整する治療法だそうです。ご協力いただいたみなさま、ありがとうございました。
それと、実はSCOグループからもPay Lightシリーズのチラシを持参させていただいていました。終演後に余っているものを回収しに行きましたが、すべてハケていまして・・・!多くの方に興味を持っていただき、こちらも嬉しい結果でした。
さて、最後にアンコールで演奏されたのは、エドワード・エルガーの『威風堂々』。この曲の力強さと高揚感がコンサートの締めくくりにふさわしく、会場は拍手と歓声で包まれました。
アンコール曲だけ撮影もOK!
書かずにここまで来てしまいましたが、0歳児から楽しむことができた今回のコンサート。
年齢の制限なく、撮影もできたことで、より多くの方に楽しんでいただける機会となったのではないかなと感じています。その一端を担うチャンスをいただいて嬉しく思います。
Jオーケストラの理念や音楽への情熱、そして社会貢献への取り組みに、心の栄養をチャージできた一日でした。
では、また。