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no15 :『 detective TAKEI FUMIRA. / 5 』 制作覚書

detective TAKEI FUMIRA. 制作覚書。

タケイフミラ.のファーストアルバム『music & his story』はいつリリースしたのだっけ?。そうそう、2007年。このnote開始辺りのpostに、その頃の話を書いていました。

これに関しては特に何も思わない。「そんなもんだっけなぁ。もっと前のような気もするけどなぁ…。」と、そのくらいの感想。
それよりも、この2ndアルバム『5』の制作期間に対しては「長かった…ほんとに…」と、そんな気持ちです。

最初に歌詞を書き始めたのが2014年4月。iPhoneのメモに書き込んだ、その日付けが残っている。

最後の歌詞を書いたのが2018年の8月。単純計算で4年半掛かっている。

もちろん4年半の間、ずっとタケイフミラ.に取り組んでいたわけではない。
その間にSmall Circle of Friendsの11thアルバム『Silence』、STUDIO75の4thアルバム『Over Your Shoulder』をリリースしているし、他のこまごまとした制作も行なっていたわけだ。タケイフミラ.に向き合っていた時間は合わせてもそれほど長くはない。

ただ、他の作業をしてても、どこかでタケイフミラ.の事を考えていた。アタマの隅っこに彼が居て、ずっとこちらの様子を伺っているようだった。ウソだ。

そもそもタケイフミラ.の1stアルバムは思いつきとその場の勢いで、どんどんレコーディングしていったものだ。それゆえストーリーにはランダムな要素が多くて、あちらこちら寄り道しながら、最終的にはなんとか力技でまとめあげたものだ。タケイフミラ.の人物像も最初から存在せず、出来上がってから、「そうか、こんな話なのか」と自ら驚いたほどである。

そして2ndアルバムを作ろうと思いたった時、はたと気づいた。
そんなノープランの賜物に、今度はハッキリとした「行動の意味」を持たせなければならない。これはなかなかやっかいだ。

なぜ再びタケイフミラ.は登場するのか?
そして何をする?
その他の登場人物は?
1stアルバムとどのくらい繋がりがあるストーリーにするのか?

最初にある程度あらすじを考えた。書き出すまでもなかったが、頭の中で「こーなって、あーなって」と、登場人物達の動きと関係性をわりとかっちり決めた。

それでも結末はどうすれば良いのかわからなかった。そこは作っているうちになんとかなるでしょ。別に小説書いているわけでも、映画を撮っているのでもないから、と当面の負担を少しでも減らしたい一心で、思考を先送り。

そして書いていく。物語の最初からエピソードを順番に、筋が破綻しないよう慎重に。

しかしこれは「音楽」なわけだ。ビートに乗せることを想定しながら、小節数を数えつつ、言葉のリズムを意識して韻をふむ。

そうこの時、まだビートは存在していない。

Small Circle of Friendsの時だと、大概の場合、ビートが先にあって、それに対して心の赴くままに、自由に、「テーマも感情も」言葉に落とし込んでいく。

今回のタケイフミラ.は先にアタマのなかにある物語を歌詞にしていった。そして後からビートを選んでいく。作りためたビートのストックから、その場面の色に合っていて、尚且つ、書いていた歌詞がスムーズに乗ることができるかどうか。ビート・オーディションは難航し、時にビートに対して歌詞を書き換える作業が必要となった。

一連の作業の様子、気分。そういったものを擬音で表現すると「じりじり・・」だ。

普段の音楽制作、レコーディングには少なからず「はじけた」部分が存在していて、逆にそういった気分が無いと良いものが出来ない。
でもタケイフミラ.はとにかく目の前のやるべき事。一つ一つこなしていって、ゆっくりでもいいからとにかく前へと進んでいく。一日一歩、三日で三歩。

声のレコーディングが始まる。自分でマイクをセッティングし、自分でインプットのバランスをとって、自分でレックボタンを押す。慣れた作業だが声を出した瞬間、アズマリキは消える。不思議なことだが。自分から出ている声の持ち主は間違いなく「タケイフミラ.」。と、他の登場人物たち。
彼らに対してディレクションを行い、時に声の調子を心配し、やる気のない相手には喝を入れる。

そしてふと顔を上げた瞬間彼らは消え、周りには誰もいない。

ひとりだ。

それゆえサツキさんのボーカルレコーディングは楽しかった。ぎゅうぎゅうに押し込まれて粘土化したところに爽やかな風が吹いてきた感覚だ。

そしてエンディング曲。やっとここまできた、という安堵感と達成感で、打ち上げ気分のなか、楽しく録音できた。

ミックスダウン。それから、ポストプロダクション。

気をつけたこと。

28曲分の流れをなるべく「だれる」ことなくスムーズに聴こえるようにすること。

そのために2バース目を無くしたり、イントロをなくしたり、当初存在していたインタールードも省いた。だけど数カ所か、なんとかしたいけど、なんともならなかったトコロがある。

それは「音楽」からはずれて「説明」になってしまうところ。必要な部分だけれど『無くそうか』どうか迷った。

それと会話の内容に焦点を当てすぎて、やんわりリズムを合わせたはずの言葉が「音楽」に聴こえないかも。という心配。そういったことを最後の最後まで悩み、調整しながらミックスダウンをすすめた。

かくしてマスタリングが終わる。

1stアルバムと同じくミヤナガリサさんの絵。そしてサクラダさんのデザイン。それはタケイフミラ.にとって欠かす事ができない要素だ。目で見るタケイフミラ.とその他の登場人物の様子。物語がいきいきと動き出す。

こちらの想いも解放される。タケイフミラ.がこの手から離れて彼ら自身の世界へと戻っていく。

そんなことが頭を巡る。

今、detective TAKEI FUMIRA.『5』を楽しく、客観的に、ニヤニヤしながら聴いています。でも、制作していた時の事を思い出すと、またあの「じりじり・・」が蘇ってくるのです。





制作としての覚書。

Small Circle of Friends presents『detective TAKEI FUMIRA / 5』ファイブと読みます。2019年7月3日に発売しました。

どこかで、いろんな場所で、好きな方法で、聴いてみてください。

12年ぶり2度目の登場です。セカンドッ!








では、また。

detective TAKEI FUMIRA

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Small Circle of Friends pres STUDIO75
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