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今、小さな家を考えてみる(後)

前回からの続きです。

実現はしなかったのですが

建築面積 13.66m2 4坪 3階建て、延べ面積 38.25m2 11.5坪

という家を計画した事があります。

ご夫婦とお子さんの3人暮らしです。元々物少ない暮らしをされていた方だったので考えられる家なのですがかなり究極的なプランです。

とはいえ、

小さい家でもどうにか広がりを感じ、暮らしを楽しめるようにずいぶん考えました。それが、これ ↓ です。


この方は、都心に住むために「小さな土地ならなんとか購入でき、小さな家なら予算の中で家が作れるのでは」と考えられました。その考えは正しいと思います。ただ、なかなか小さな土地って、ないんです。ようやく実現の可能性が出た土地が出てプランを考えたのが上記のものです。でも結局実現しましせんでした。最終的に都心から離れた郊外に土地を購入し、でも小さな土地で、そこに小さな家を建てました。

その方も最初は私の提案する小さな家

ライトウエイトハウス LWH の考え方に共感していただき

ご連絡をもらいました。

ライトウエイトハウス LWH

その企画を考えていた時に、いろんなことを考えました。そしてまっとまったのが

これ↓ です。

==========

こんな小さな家じゃ・・と思えば見えて来るものがなく
「これに住むしかない」と仮に覚悟を決めて考えると
最低限の物しか置けず、それを真剣にみつめると
「生活道」・「人生道」のような事になるし

でも・・

そんなストイックな暮しを「 したい 」「 してほしい 」わけでもなく
もっと気楽に自分の「すみか」を「暮し」を楽しんで欲しいだけです。

次々に作り出される住居は売り手の欲が透けて見え、興醒めし
デザイナーの真っ白な箱の家もなんだか気恥ずかしく

欲しい家は・・

ただ、、 なにげなく建っていてくれればよく
大きくなくてよく
小さければストーブひとつで家中が温まり
庇(ひさし)があれば多少の雨でも窓をあけ、雨の匂いを運ぶ風を楽しめ

その家の中で

自分らしく
自分の大切な人と
自分の好きなモノと

暮していけるものであればいいと思うのです。

==========

東京で、小さな土地ならなんとか手に入るかもしれない。そうしたら「小さくても家族4人が住める家」が作れるのではないか。

というのが始まりでした。

当時、なぜか、家の事で悲しい思いをされている方からのご相談がいくつもあったんです。せっかく手に入れた家なのに悲しい思いをさせる社会、というか建築業界に腹が立っていました。大きなお金を必要とするだけに、喜べなかったらそのショックは大きいです。

家というものが人生の中で比重が大きすぎるのです。

そんなに大きな家じゃなくてもいいんじゃないか?
暮らし方を見直し持ち物を減らせば小さな家でも暮らせるはず。
家族4人が楽しく幸せに暮らせる「ちゃんとした小さな家」を作りたい!

と思って考えました。

考え出す少し前に、リフォームの提案を依頼されたアパートがありました。1階2階各1室。「2K」という間取りで、延べ50m2でした。
「2K」なら二人で住めます。「2K」x2なら4人住める計算になります。「50m2あれば家族4人住める!」という根拠は、それでした。

実際プランを考え出すと、それほど簡単なものではありませんでした。
ライトウエイトハウスとして公開した初代のプランは「自由に考えられる」とは言いつつ、ある程度室内を作りこまないと現実的に「4人住む」のが難しい感じでした。

考えに考えたプランでしたが、何か違う、という気持ちが強くなり考え直したのが、現在公開しているものです。制約がない、とは言えませんが、初代よりは自由さが増したように思います。

家の大きさに関わらず、風呂を始めとする設備は必要です。家が小さいと設備の面積の影響がとても大きくなります。なので「企画」としては様々なプランを想定した上で「基本」を決めました。

できたものは、「普通」なものになりました。
「あれが普通か?」と思う方は多いと思うのですが、私の中では「普通に暮らせる」という感覚です。
量が多くはありませんが収納もそれなりに作れます。「物少なく」は前提ですが、そんなにストイックにならなくても住める

というのが「普通」という意味です。

住む人の発想次第ですが、最低限「普通に住める」という意味で「自由」が保てるように思うのです。

建築家の考える奇抜さはもちろんコンセプトを表に出して形作るものには心が動きません。近年特にそうなってしまいました。

それとは逆に、人の暮らしを大事にし自然素材を使い「きちんと」設計されたものがあります。

でもそれも、なんだか「こう使ってください」という規制のように感じてしまうようになってしまいました。

「ちゃんと作ってあって素晴らしい。だけど・・なんだか苦しい」と。

もっと、、自由でありたいんです。


そんな事が、ライトウエイトハウスの初期に考えた文
「こんな小さな家じゃ・・」の中に在って
今の自分の気持ちをよく表してる
と、読み返して気が付きました。

小さな家は、いろいろなものを諦めた結果ではありません。
小さな家を考える事は、その過程でいろんなものをそぎ落とし
本当の自分を知る作業なのかもしれません。

本当に好きな事。本当にしたい暮らし方。

「自分の根拠」が明確になる事で、自由になれるように思うのです。

小さな家は、住む人をむしろ、解放してくれるのかもしれません。


(おわり)



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