ありがとう25周年!「軽井沢国際カーリング2023」大会ダイジェスト
12月1日~3日まで、軽井沢アイスパークで「軽井沢国際カーリング選手権大会2023」が行われました。
1998年長野五輪の翌年からスタートしたこの大会は、今回で25周年。四半世紀続いたことを祝うかのように、すばらしいチームが集結し、またコロナ禍を経て、ようやく軽井沢国際らしい競技大会を催すことができました。大会をまるっとレポートします。
五輪メダリスト、世界チャンプなど
世界トップを含めた全16チームが軽井沢に集結
注目チームは、男子が昨年の冬季オリンピックの金メダリスト・Team Edin(スウェーデン)、11月にパンコンチネンタル選手権で優勝したTeam Gushue(カナダ)、今季カナダのツアー大会で好調を見せたTeam Morozumi(TM軽井沢)、昨年日本選手権で準優勝したTeam Hirata(KiT Curling Club)、成長著しいTeam Sato(札幌国際大学)。女子はカナダを代表する名スキップ、Jennifer Jonesが世界ジュニア選手権優勝チームと結成したTeam Jones、そのジョーンズ選手のチームメイトだったKaitlyn Lawes選手率いるTeam Lawes、昨年の軽井沢国際の覇者、”メガネ先輩”ことKim EunJungのTeam E.Kim(韓国)、さらにTeam Kitazawa(中部電力)、Team Yoshimura(フォルティウス)、Team Ueno(SC軽井沢クラブ)と豪華なラインナップで、男女合わせて16チームが集結しました。
大会前日は代表選手による記者会見と
ジュニアカーリングクリニック
大会前日となる11月30日には、出場選手を代表して7名のスキップ(チームの司令塔)による記者会見が行われました。Niklas Edin選手やJones選手、Lawes選手は久しぶりとなる大会参加への意気込みを、Brad Gushue選手は初めての日本の大会参加の喜びを、Kim選手は連覇への意欲を、両角友佑選手、北澤育恵選手は地元で行われる大会への期待を語りました。
記者会見後に行われたのは、参加する海外チームが講師となって、地元のジュニア選手たちを指導するイベント。例年実施している催しですが、今大会はプレミア・パートナーである株式会社ユニクロの協力のもと「ユニクロドリームプロジェクト ジュニアカーリングクリニック」の名称で開かれました。Team Edin、Team Gushue、Team Jones、Team Lawesと35名のジュニアが参加。憧れの選手の実技を間近で見られ、さらに直接教えを受けられ、子供たちは大興奮でした。
繰り広げられた熱戦の数々
男子はGushue(カナダ)、女子は中部電力が優勝
世界トップチームを迎えて12月1日~3日に行われた試合は、どれも見応えがあるものでした。白熱した試合に加え、連日多くのお客様が会場に来られ、大きな声援で会場を盛り上げていただきました。
また、" 試合を真横で楽しめる氷上の観戦エリア ”「FanFunシート」を今大会も販売。大会が招いたジュニア選手も含め、多くの方にこの特別な場所から試合を楽しんでいただきました。
最終結果は以下の通りです。男子はカナダのTeam Gushueが貫録の強さを見せました。Team Satoも大健闘で見事な準優勝です。女子はTeam Kitazawaが初めてこの大会で表彰台の頂に立ちました。地元開催の大会での勝利に、喜びひとしおといった様子でした。
女子 優勝 Team Kitazawa(中部電力)
準優勝 Team E.Kim(韓国)
3位 Team Lawes(カナダ)
男子 優勝 Team Gushue(カナダ)
準優勝 Team Sato(札幌国際大学)
3位 Team Edin(スウェーデン)
一部の試合は大会公式YouTubeチャンネルでご覧いただけますのでチェックしてください。
カナダのスポーツジャーナリストが見た軽井沢国際は?
大会を支える功労者へは特別賞を授与
25周年を記念して、今大会ではカナダCBCのスポーツジャーナリストで特にカーリング競技に精通するDevin Herouxさんを特別レポーターとして招きました。
実は彼がスポーツ、とくにカーリングに魅せられたのは、軽井沢で行われた1998年の長野五輪をテレビで観たことがきっかけでした。その後に記者となり、現在もオリンピックやパラリンピック、各競技の世界大会などさまざまな取材を精力的に行っていますが、今回、Devin少年の心を揺さぶった試合の地、軽井沢に訪れることになったという訳です。
カーリングに限らず、これまでさまざまなスポーツシーンを見てきた記者として、軽井沢国際カーリングや軽井沢をどのように見て、感じて、伝え、私たちにどんな新しい発見をくれるのか、とても楽しみにしていました。
優れた取材力でアスリートたちの姿を生き生きと表現し、真のスポーツストーリーを語る人とは聞いていましたが、彼はまさに、というより私たちの期待以上に素晴らしい仕事をしてくれました。彼の投稿などから、大会を客観的に見ることができ、大会以外にも軽井沢町の魅力を再発見するなど多くを学ぶことができました。
ぜひDevin HerouxさんのSNSを訪れ、11月下旬からどんな発信をしていたかご覧いただければと思います。
そしてもう一つの特別な出来事は、カナダカーリング協会のElaine Dagg-Jacksonさんに特別功労章を授与できたことです。
長野五輪でカーリング日本選手団のヘッドコーチを務めたElaineさんは、カーリングで軽井沢を盛り上げようという人々の思いを汲み取り、若手選手たちの輩出や軽井沢アイスパークという専用施設の誕生をずっと見守ってきてくれました。
カーリング文化を広める苦労を知っている彼女は、選手強化には複数のチームが競い合うことが大切だと、母国のさまざまなチームに軽井沢国際カーリングへの参加を推奨するなど、長きにわたり大会に惜しみないサポートを続けてくれているのです。
こうして2023年大会は盛況理に幕を閉じました。支えてくださったスポンサー、会場に足を運んでくださったお客様、参加チーム、大会スタッフ、ボランティア、そのほか関わってくださったすべての方に感謝を申し上げます。
カーリング国際競技大会の
新しい姿を目指して
25年も続けてこられた理由の一つに、長い時間の中で大会もさまざまに変化をしてきたことがあげられます。大会がスタートした1999年当初は「カーリング」をスポーツと認識できない人も多く、競技を知ってもらうことに注力していた時代でした。会場となる軽井沢アイスパークが誕生した2013年ごろは、各国の有力チームにこの大会を知って、来てもらおうと大会のレベルアップや海外向けの発信に励みました。一方で、感染症のパンデミックで開催を諦めなければならなかったり、昨大会は数日間の開催のために数ヵ月かけて各所に奔走したこともあります。
軽井沢国際カーリングが目指すのは、「各国トップチームが参加したくなるような、日本発の誇れる競技大会となること」、「当大会を通して選手を目指すジュニアが一人でも多く増えること」、そして「競技者だけでなく観戦者も大会を楽しみ、カーリング競技に親しむ人の輪がさらに広がること」です。
時代や競技を取り巻く環境が変わっても、これらを大会の要として、私たちはこれからも大会の向上に努めていきたいと考えています。