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ヨーロッパ文化教養講座(イギリス映画「ミセス・ハリス、パリへ行く」録画鑑賞記)

2023/11/18
悪党が登場せず、主人公が宮本信子のような名優で、後味がとても良い映画。

アメリカの人気作家ポール・ギャリコの長編小説を、「ファントム・スレッド」のレスリー・マンビル主演で映画化。

1950年代、第2次世界大戦後のロンドン。夫を戦争で亡くした家政婦ミセス・ハリスは、勤め先でディオールのドレスに出会う。その美しさに魅せられた彼女は、フランスへドレスを買いに行くことを決意。どうにか資金を集めてパリのディオール本店を訪れたものの、威圧的な支配人コルベールに追い出されそうになってしまう。

しかし夢を決して諦めないハリスの姿は会計士アンドレやモデルのナターシャ、シャサーニュ公爵ら、出会った人々の心を動かしていく。

支配人コルベール役に「エル ELLE」のイザベル・ユペール。「クルエラ」などのジェニー・ビーバンが衣装デザインを手がけた。

2022年製作/116分/G/イギリス
原題:Mrs Harris Goes to Paris
配給:パルコ
劇場公開日:2022年11月18日

映画.com

コメントと感想:

1.映画の冒頭で舞台が1957年(小生が生まれた年)とわかる。主人公エルサ・ハリスを演じたレスリー・マンビルは、1953年生まれで同年代だが、さすがに、女優は若く見えると思った。

2.ファッションの世界は全くわからないし、ディオールがどのくらいの価値があるものかもわからないが、ミセス・ハリスがディオールのドレスの存在によって、戦争で夫を失った悲しみを癒やされたことは間違いないし、パリに行って、ディオールのドレスを作ってもらうという夢に向かって生きる希望を得たということも間違いない。

この市井の1人の家政婦に生きる希望を与える力を持つ、ファッション・ブランドは、生活必需品としての衣類ではなく、もはや芸術品なのだろうと覆った。

3.一つ良く理解できない点があった。
ミセス・ハリスが、自分に気があると思ってドキドキして出かけた、侯爵の屋敷で、侯爵がミセス・ハリスに自分がこどものときに、なついていた「掃除婦」の面影をみたという言葉にショックを受けるシーンがあった。

このシーンで、ミセス・ハリスが傷ついたのは、侯爵が自分を同じレベルの(同じ階層の)人間として親しくしてくれるのではなく、あくまでも、使用人としてしか看ていないという視線に傷ついたのだろうか?
あるいは、ここで使われた「掃除婦」という言葉自体が差別用語だったのだろうか?

4.ミセス・ハリスの大親友ヴァイも黒人だったし、ディオールのファッションショーにも白人以外のモデルが多数出演していた。この時代のファッション界は既に非白人のモデルがこれほどいたのだろうか?それとも、2022年の映画だからだろうか? この点も気になった。



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