ヨーロッパ文化教養講座(イギリス映画「ミセス・ハリス、パリへ行く」録画鑑賞記)
2023/11/18
悪党が登場せず、主人公が宮本信子のような名優で、後味がとても良い映画。
コメントと感想:
1.映画の冒頭で舞台が1957年(小生が生まれた年)とわかる。主人公エルサ・ハリスを演じたレスリー・マンビルは、1953年生まれで同年代だが、さすがに、女優は若く見えると思った。
2.ファッションの世界は全くわからないし、ディオールがどのくらいの価値があるものかもわからないが、ミセス・ハリスがディオールのドレスの存在によって、戦争で夫を失った悲しみを癒やされたことは間違いないし、パリに行って、ディオールのドレスを作ってもらうという夢に向かって生きる希望を得たということも間違いない。
この市井の1人の家政婦に生きる希望を与える力を持つ、ファッション・ブランドは、生活必需品としての衣類ではなく、もはや芸術品なのだろうと覆った。
3.一つ良く理解できない点があった。
ミセス・ハリスが、自分に気があると思ってドキドキして出かけた、侯爵の屋敷で、侯爵がミセス・ハリスに自分がこどものときに、なついていた「掃除婦」の面影をみたという言葉にショックを受けるシーンがあった。
このシーンで、ミセス・ハリスが傷ついたのは、侯爵が自分を同じレベルの(同じ階層の)人間として親しくしてくれるのではなく、あくまでも、使用人としてしか看ていないという視線に傷ついたのだろうか?
あるいは、ここで使われた「掃除婦」という言葉自体が差別用語だったのだろうか?
4.ミセス・ハリスの大親友ヴァイも黒人だったし、ディオールのファッションショーにも白人以外のモデルが多数出演していた。この時代のファッション界は既に非白人のモデルがこれほどいたのだろうか?それとも、2022年の映画だからだろうか? この点も気になった。