ヨーロッパ文化教養講座(「楽園のキャンバス」)
2022/08/31 「楽園のキャンバス」の中に出てくる、アンリ・ルソーの「夢」の原題は、「La Rêve」だそうだ。
「夢を見た」は、想像上の絵画だろうから、原題は実際はないことになるが、訳すると、「J'ai rêvé」となるらしい。ということは、「夢を見る」という意味の、原型「rêver」という自動詞が存在するということだろう。
もし、アンリ・ルソーが、イタリア語話者だったら、題名は、「Il sogno」となったのだろうか?「夢を見た」であれば、「Ho sognato」となる。でも、songareは、他動詞もあって、「~の夢を見た」と言った方が落ち着きがあるような気がする。そうすると、「Ho fatto il sogno」としたほうが良いのか。
フランス語とイタリア語は、どちらも、ローマ帝国の公用語のラテン語を主な起源とするが、この場合、フランスの夢は女性名詞、イタリア語の夢は、男性名詞である上、形が大分違うので、語源は違いそうだ。
伊伊辞典では、語源が、ラテン語のsomniuとなっているので、イタリア語の夢はラテン語語源だとわかる。
フランス語の語源はと考えると眠れなくなるので、後で調べてみよう。
原田マハの本の方は、冒頭部分は、物語の中心である、「夢を見た」の鑑定対決をしてから、20年近く後の話から始まる。大原美術館の美術館監視員をしている、早川織絵が、急に館長に呼ばれた。大原美術館が企画展で、MOMAの「夢」を借りようと交渉したところ、MOMAのキュレーターのTim Brownから、オリエ・ハヤカワが交渉に立つなら考えても良いと言うことをいわれて、ビックリして早川織絵を呼び出し、ニューヨークに行ってくれという。
早川織絵には、明らかに白人との間に生まれたというルックスを持った高校生の娘が居てということも描かれていて、もしかしたら、Timと織絵の子供ではないかとか、何故、世界的なアンリ・ルソーの研究者であった、織絵が一監視員をしているのかとか、考える内に、話が20年近く戻って、Tim Brownが、間違って来た(か、どうかはまだわかならいが)招待状に応じて、パリへ行くことになるという、第二章が始まる。
さすがに、一流作家の腕にかかって、あっという間に話に引き込まれてしまった。
ところで、大原美術館を舞台にしたのは、ここの西洋画コレクションの素晴らしさだけではなく、原田マハが岡山出身だということも大きいのだろう。
映画でもみた、「でーれー物語」もいい話だったことを思い出した。
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