2024/07/25
ゴジラ映画で涙が出たのは初めてだった。
ゴジラ映画ではあるが、ゴジラは主役ではなく、第二次世界大戦敗戦の後遺症から抜けきれない人々が、前を向くために破らねばならない「壁」の象徴として描かれていると思った。
主人公敷島浩一(演 神木隆之介)は、敵前逃亡の負い目という「壁」を、ゴジラを退治するために駆逐艦で出航する元海軍兵たちは、自分たちは祖国のために何もできなかった負い目という「壁」をゴジラを退治することで克服できたと思う。
それが、この映画の1番感動したところだった。
その「壁」ができてしまった原因である、戦中の指導者たちの悪政に対する怒りが、映画全体に感じられ、監督の主張が静かに、しかし強く胸に迫る。
現実は、戦後にゴジラは出現しなかった。
そして、心理的な「壁」を外国人(=進駐軍)が東京裁判で取り除いたかに見えた。
しかし、その「壁」を自らの手で取り除けなかった我々は、次の世界大戦に巻き込まれるのは必然ではないかと、残念ながら思っている。