ヨーロッパ文化教養講座(藤田真央のモーツァルト・ピアノ・ソナタ全集 鑑賞記-14 第14番 K.457)
2023/04/08
第13番 K.333から2年も経っていないのに、第14番は、K.457へ番号が進んでいる。この時代のモーツァルトは多忙を極めたことがわかる。
第1楽章 アレグロ 4/4 ハ短調 ソナタ形式
第2楽章 アダージョ 4/4 変ホ長調 ロンド形式
第3楽章 アレグロ・アッサイ 3/4 ハ短調 ロンド形式
1784年10月14日ウィーン
(翌1785年5月20日に完成された同じ調の<幻想曲>とともにトラットナー夫人に献呈している。この<幻想曲>と<ソナタ>を見ると、技巧的に難しいだけでなく、深い音楽的な内容があり、夫人がピアノの名手であっただけでなく、モーツァルトと音楽観を共有していたことが窺える。(久元祐子の本))
演奏時間:
① 真央君 2021年(23才)
I 5:45 II 7:35 III 4:52
② 内田光子 1985年(37才)
I 5:23 II 8:12 III 4:21
③ アルフレッド・ブレンデル 1984年(53才)
I 7:53 II 8:19 III 4:39
④ アルフレッド・ブレンデル 1990年(59才)
I 7:39 II 8:04 III 6:32
ベートーヴェンが<悲愴ソナタ>をつくったとき、モーツァルトのこの<ソナタ>あるいは<幻想曲>を参考にし、大きな影響を受けたことは間違いない。(久元祐子氏の本)
真央君「K.457は、クリストフ・エッシェンバッハの前で弾いて、褒められたソナタです。そのソナタはよく<幻想曲>K.475と並べて演奏されることが多いのですが、わたしもエッシェンバッハのときにそのスタイルで演奏しました。のちに、エッシェンバッハはそれを覚えてくれ、ご自身も2曲併せて演奏したそうです。」
「次々と偉大なピアノ協奏曲を発表していたさなかの1784年10月14日に完成したピアノ・ソナタ第14番は、モーツァルトのソロ作品の中でも、楽器の持つ可能な限りの音量と音域を使ったユニークな作品と言える。第1、3楽章の劇的な主題や短く叙情的なフレーズ、そして3楽章の中での突然で気短かな区切れ、それらを第2楽章アダージョの静穏な流れが中断する。」(内田光子のCDライナーノート エリック・スミスより)