ヨーロッパ文化教養講座(2024年10月8日 小菅優 "ソナタ・シリーズ" Vol.3 「愛・変容」)
2024/10/17
活躍中の中堅ピアニスト小菅優さんのリサイタルを紀尾井ホールで聴いた。
このソナタ・シリーズは、「ソナタというテーマに基づき、様々な時代を歩む作曲家の限りない世界に挑戦」するシリーズで、全5回。
今回は、3回目の「愛・変容」というテーマに沿って、小菅優さんが、「愛」を感じる3曲の「変奏曲」が入っているソナタ3曲の演奏。
日時:2024年10月8日 開場:18時30分 開演:19時
開場:紀尾井ホール
プログラム:
1) ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第30番 ホ長調 op.109
2) 八代秋雄:ピアノ・ソナタ
休憩20分
3)シューマン:ピアノ・ソナタ第3番 ヘ短調 op.14
アンコール:
4)ブラームス:ブラームス:ロマンス ヘ長調 op.118-5
コメントと感想:
1.開演前に小菅優さん自身が「これから演奏を始めます」という主旨のアナウンスをして、とても新鮮に感じた。
2.1)ベートーヴェンの Op.109 は、変奏曲が何者かわからない20歳代のころから、聞き込んでいた。
1楽章と2楽章が軽快に終わった後、同じようなメロディラインを強弱やテンポを変えて繰り返えす、変奏曲の第3楽章は、新鮮というよりも退屈に感じることが多かった。
聞き慣れた今は、この曲だけでなく、ベートーヴェンのピアノソナタは、後期を中心に聴きたくなるので、自分の今の好みにあっているのだと思う。
小菅優さんの演奏は、オーソドックスで聴きやすかった。
ピアノもホールも音が良く、観客も集中していて、とても満足した。
3.2)の八代秋雄のピアノ・ソナタは1961年に大原美術館の委嘱作品。ベートーヴェンのop.109に触発されて作曲されたとのこと。不協和音と突然の打鍵と停止などの前衛曲の特徴はハッキリしているが、全体的には「op.109の精神的影響を受けている」ためか、苦手な前衛曲の中では聴きやすい曲だと思った。
4.3)この曲も初めて聴いた。妻のクララの作品を主題にした変奏曲を3楽章にした、技巧的にも難しそうな大曲。
作曲時の5楽章構成で演奏された。
この曲は、リストのピアノ・ソナタもそうだが、聴きこめば好きになれそう。
5.4)満場の拍手に迎えられて、アンコールを1曲。
聴いたときはわからなかったが、後で調べると、
2022年7月16日に宮崎で聴いた反田恭平君のリサイタルでも取り上げられた、ブラームスの「6つのピアノ小品」の1曲だった。
小菅優さんのソナタ・シリーズの次回は、2025年3月28日に同じ紀尾井ホールで、リストのピアノ・ソナタも演奏されるので、行けるかどうかはわからないが、カレンダーには印を付けた。