ヨーロッパ文化教養講座(2024年6月9日 藤原道山邦楽サロンコンサート其の参 鑑賞記)
2024/06/10
「尺八の貴公子」こと藤原道山さん(祖母が鹿児島出身)の2021年、2022年に続いて三回目のサロンコンサート。
今年も素晴らしい演奏を聴かせてくれた。
日時:2024年6月9日 開場:13時半 開演:14時
会場:かごしま県民交流センター 中ホール
プログラム:
1)春の海幻想 宮城道雄 1929年 作曲 牧野由多可 1982年 編曲
尺八:藤原道山
琴独奏:村澤丈児
第一琴:西薗真理子、新村純子、松元茜
第二琴:若松浩子、椎木奈美、西間庭智子
第三琴:藤田まゆみ、本藏理恵
十七絃:新地芳美、小窪真理子
2)甲乙(かんおつ)初代 山本邦山 1973年 作曲
尺八:藤原道山
3)紫苑 ~尺八と十七弦のための二章~ 初代 山本邦山 1977年 作曲
尺八:藤原道山
休憩
4)Momiji for Shakuhachi and Koto 藤倉大 2022年 作曲
尺八:藤原道山
琴:村澤丈児
5)虫の歌 宮城道雄 1943年 作曲
琴:村澤丈児
6)花宴(はなのえん)藤原道山 2012年 作曲
尺八:藤原道山
琴:村澤丈児
7)アンコール
春の海抜粋 宮城道雄 作曲
尺八:藤原道山
琴:村澤丈児
コメントと感想:
1.1)は、正月になると必ず演奏される、「春の海」を作曲家の牧野由多可氏が編曲したもの。
原曲の琴と尺八の掛け合いの要素に、琴+琴、琴+13絃、尺八+13絃の掛け合いも加え、「フルート+弦楽合奏曲風」にアレンジしたもの。
琴も4つの異なったメロディーを1人~3人で弾かなければならないので、琴の奏者の腕前が非常に重要な曲だとおもった。
其の意味で、この日の演奏は、素晴らしかったと思う。
2.2)は、藤原道山さんの亡き師匠、初代山本邦山の作品。
甲乙(かんおつ)は、尺八用語で、「強弱」を現すとのこと。
イタリア語で言えば、「Piano Forte」
タイトルだけでも興味深い
曲は、尺八のテクニックをふんだんに使った、無伴奏曲。
道山さんの澄み切った音とテクニックが冴え渡った。
3.3)は、源氏物語の章に登場するタイトル。NHKの大河ドラマ「紫の君へ」が放送中なのでこの曲を選んだそうだ。
4.4)Momijiは、日本を代表する藤倉大氏の曲。藤倉氏は、鹿児島にゆかりがあるとのこと。
5.5)虫の声は、生涯200曲以上の曲を残した、宮城道雄氏が書いた、めずらしい独奏曲(20曲くらいしかないそうだ)。
演奏機会が極めて少ないのは、高い演奏技術を要するからだそうで、
村澤丈児さんは、両手を使って、虫の鳴き声をみごとに奏でていた。
6.6)花の宴は、藤原道山さんのオリジナル曲。
宴にふさわしい、華やかな曲。
来年、是非4回目のサロンコンサートがあればいいなと思う。