ヨーロッパ文化教養講座(2023年イタリア映画「モリコーネ 映画が恋した音楽家」鑑賞記)
2024/01/24
2020年に亡くなった映画音楽の巨匠、エンニオ・モリコーネ・マエストロ(1928年11月10日~2020年7月6日)の音楽人生を、名作「ニュー・シネマ・パラダイス」でコンビを組んだ、ジュゼッペ・トルナトーレ監督が製作したドキュメンタリー映画。トルナトーレ監督がモリコーネ氏をいかに敬愛していたかが窺える、名作ドキュメンタリー映画だと思う。
コメントと感想:
1.好きな外国映画は何ですか?と人に聴かれたら、必ずベスト10には入ると思う「ニュー・シネマ・パラダイス」の素晴らしい音楽を作った、モリコーネ氏がどういう人だったか? ということが、良くわかるドキュメンタリー映画。
2.モリコーネ氏が、伝統のあるサンタ・チェチーリア音楽院で正統なクラシック音楽教育を受けたこと、専門が元々トランペット奏者であったことなど、知らないことが多かった。
映画音楽には、最初は編曲者として関係し、その才能を認められて、作曲も手がけるようになる。
黒澤監督の「用心棒」のオマージュ作品「荒野の用心棒」の出だしの印象的な口笛の音楽も当時としては斬新なものだったという。
3.映画音楽は、いわゆる「標題音楽」に分類されると思うが、正統な「絶対音楽」の方も平行して作っている。イタリア映画が中心だったので、ジョン・ウィリアムズほど知名度はないかも知れないが、音楽家としての才能や実績はジョン・ウィリアムスに並ぶと思った。
4.愛妻家としても有名だそうで、アカデミー賞の名誉賞を取ったときのスピーチは妻に対する感謝の言葉だった。
このように、人間的にも尊敬できる優しい人物だったようで、「ニュー・シネマ・パラダイス」で知り合った、トルナトーレ監督のこの映画で描くモリコーネ氏は、尊敬と愛情で満ちている。
そのことで、157分の長尺ドキュメンタリー映画でありながら、気持ちよく観賞することができた。
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