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ヨーロッパ文化教養講座(2024年12月16日 反田恭平リサイタル@フェスティバルホール)
2024/12/19
完全に満席のフェスティバルホール(大阪市)で行われた、反田恭平君のソロリサイタル。30歳になったばかりだが、堂々とした巨匠のような演奏だった。
日時:2024年12月16日 開場:17時半 開演:18時半
会場:フェスティバルホール
演奏:反田恭平
プログラム:
1)ショパン:幻想ポロネーズ 変イ長調 作品61
2)ラヴェル:夜のガスパール
休憩
3)ムソルグスキー:組曲「展覧会の絵」
アンコール:
4)シューマン:トロイメライ
5)モシュコフスキー:エチュード第6番
6)ショパン:幻想即興曲
7)ショパン:子犬のワルツ
8)ショパン:エチュード Op.10-1
コメントと感想:
1.反田君の今回のリサイタルに関するインタビュー記事によると、来年は協奏曲のソリストとJNOの弾き振りが演奏活動の中心となるそうで、ソロリサイタルは、全体の1割とのこと。年末に貴重なリサイタルを聴くことができて、ラッキーだった。
2.入会したばかりの反田君(+JNO) のファンクラブ「Solistiade」の先行抽選でゲットしたチケットだったからか、1階 のボックス席の直ぐ後ろで鍵盤が見える絶好の座席だった。
3.1)は、「自分は人前で弾くのは初めて」だが、「奥さん(小林愛実)の十八番だから、疑問点は直ぐに確かめられる」らしい。
題名のない音楽会でも、小林愛実さんは、「幻想ポロネーズは、ショパンの最高傑作だ」と言っていた。
->その時、小林愛実さんが、「As Dur(変イ長調)の曲が1番好き」と言っていたことを思いだした。
幻想ポロネーズは、2025年のショパンコンクールからは、ファイナルでは、1番 or 2番の協奏曲にプラスしてこの曲が必須課題曲となることが発表されている。
全てのコンクール参加者がこの曲を研究するので、今後この曲をリサイタルで取り上げる若手のピアニストが急増するだろう。
小生は、藤戸真央君と今回の反田君の演奏しか、ちゃんと聴いたことがなかったが、2025年は馴染みの曲になるだろう。
4.1)も2)も反田君の弱音の美しさと、弱音でも1500人のホールの隅々まで届く調律と弾き方のテクニックを実感した。
普段聴かない曲なので、他とは比較できないが、観客は一音も逃さないように聞き入っているようだった。(真冬で咳をする人が多かったのは残念)
5.後半は一転して、3)展覧会の絵をダイナミックに大迫力で聴かせた。
ピアノ版を生演奏で聴くのは初めてだが、オケ版のラヴェルの編曲がいかに素晴らしいかを確認できたとともに、ピアノ版自体も一人の作曲家が作ったとは思えないくらい、多彩な要素を組み合わせた名曲だと思った。
反田君は、「展覧会の絵をJNOでいつか指揮をしようと思い、その準備のためにも、ピアノ版に挑戦した。」と言っている。
現在のJNOのコアメンバーの構成では、展覧会の絵を演奏するためには、ゲストプレーヤーの方が数のほうが多くなってしまうと思うので、JNOが今後拡大していく中で、取り上げられれば良いなと思った。
6.アンコールは、最近(こどもの成長とともに?)反田君のお気に入りとなったのか、トロイメライから始まり、なんと、5曲の大サービス。
アンコールも超速で弾き飛ばすことはせずに、しっかりと1曲1曲丁寧に聴かせてくれた。
5)のモシュコフスキーは名前も知らなかったポーランド人のピアニスト・作曲家だそうだ。モシュコフスキーのピアノ協奏曲をYOUTUBEで聴いたが、とても美しい曲で、少しは演奏会で取り上げられても良いのになと思った。
7.サイン会に並ぶ人たちを横目に見ながら、充実感に浸りながら帰途についた。